【株式市場特集】金先物価格が史上最高値更新、円高メリット株にも資金流入期待

■東京市場、リスクオンとリスクオフが交錯、安全資産関連株に注目

 週明けの東京市場は、米国株反発による「後門の狼」後退を受けてリスクオンムードで始まる見通しである。一方で、公明党離脱を契機とする国内政局不安という「前面の虎」への警戒感が根強く、投資心理は「リスクオン」と「リスクオフ」が交錯する展開となりそうだ。米国では13日のNYダウが10日の下落分の66%を回復し、SOX指数も73%反発するなど市場の底堅さが確認された。加えて金先物価格が1トロイオンス=4137.2ドルと史上最高値を更新し、安全資産需要の高まりを映す。こうした環境を踏まえ、当面は金先物関連株や円高メリット株など防衛的な銘柄群が注目される可能性が高い。「TACO」要因への警戒は続くものの、為替は1ドル=152円台で落ち着きを見せ、見直し買いの好機となる展開も視野に入る。

■金先物価格は4137ドルと業績上方修正時の見直し価格3070ドルを上回る

 金先物価格関連株は、まず前週に揃って年初来高値を更新し3連休前の10日に調整した産金株となる。このうち世界最高品位の菱刈鉱山で産金活動を続けている住友金属鉱山<5713>(東証プライム)は、今年8月7日の今期第1四半期決算発表時に今3月期業績を上方修正したが、金価格の想定価格を期初予想の1トロイオンス=2800ドルから3070ドルに引き上げたが、足元の史上最高値4137ドルの金先物価格はこれを1000ドル超上回っている。子会社が串木野鉱山で産金活動の三井金属<5706>(東証プライム)、世界遺産・佐渡金山で観光事業の三菱マテリアル<5711>(東証プライム)、鉱種豊富な黒鉱を開発のDOWAホールディングス<5714>(東証プライム)も続き、いずれも今年11月10日前後に発表予定の今3月期第2四半期業績の動向も要注目となる。

 産金株と同様に金先物価格感応度が高いセクターが、貴金属回収・再生のリデュース株である。中外鉱業<1491>(東証スタンダード)が10月1日に年初来高値まで買われたのに続き、AREホールディングス<5857>(東証プライム)、松田産業<7456>(東証プライム)が前週に年初来高値を更新し、JX金属<5016>(東証プライム)は、処理施設増強投資発表で年初来高値まで買われており、イボキン<5699>(東証スタンダード)、アサカ理研<5724>(東証スタンダード)とともに決算発表のマークは怠れない。貴金属買い取り・再販のリユース株では、ハードオフコーポレーション<2674>(東証プライム)、コメ兵ホールディングス<2780>(東証スタンダード)、ゲオホールディングス<2681>(東証プライム)、トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)、買取王国<3181>(東証スタンダード)、BuySell Technologies<7685>(東証グロース)、さらにネット系のマーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)やメルカリ<4385>(東証プライム)なども関連株として再浮上しそうだ。

■本家本元の電力株をリーダーにSPA株、100円ショップ株も再浮上

 円高メリット株は、為替相場が円高・円安に変動するたびに売り・買いとフレ、3連休前の10日は、為替相場が一時、1ドル=153円台と円安・ドル高に進んだことで調整を余儀なくされた。ただその後の米国市場で151円台と反転上昇し、今日朝方は152円台となっていることから見直し余地が生まれてくる。円高メリット株の本家本元といわれる電力株は、低PER・PBR水準にあるだけにこのリード役になる可能性も想定される。10月6日付けの当コラムで取り上げた低PER株に妙味があり、PER4倍の東北電力<9506>(東証プライム)、中国電力<9504>(東証プライム)、5倍のJ-POWER<9513>(東証プライム)、6倍の北陸電力<9505>(東証プライム)、九州電力<9508>(東証プライム)、四国電力<9507>(東証プライム)、8倍の関西電力<9503>(東証プライム)、中部電力<9502>(東証プライム)などが再浮上し、いずれもPBRは1倍を割れ、このうち配当利回りが3%以上となるのが東北電力、九州電力、四国電力、J-POWER、中部電力である。

 アパレル・家具・雑貨のSPA(製造小売り)株も、円高メリット株の定番銘柄である。代表は、アパレルのファーストリテイリング<9983>(東証プライム)となるが、このほか同業のアンドエスティHD<2685>(東証プライム)、家具のニトリホールディングス<9843>(東証プライム)、雑貨の良品計画<7453>(東証プライム)、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>(東証プライム)、外食のサイゼリヤ<7581>(東証プライム)、食品の神戸物産<3038>(東証プライム)、ラクト・ジャパン<3139>(東証プライム)、正栄食品<8079>(東証プライム)、さらに100円ショップのキャンドゥ<2698>(東証スタンダード)、ワッツ<2735>(東証スタンダード)、セリア<2782>(東証スタンダード)なども、活躍場面が増えそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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