【市場羅針盤】おこめ券経済対策、農政転換と市場思惑が交錯する年末株式相場

■農機・包装・外食関連にも波及、政策と投資が交わるコメ市場の行方

 政府は、物価高対策の一環として「おこめ券」配布を経済対策に盛り込む方針を固めた。コメ価格の高止まりによる家計負担を緩和する狙いで、国が自治体を通じて支援する仕組みとする。東京都台東区ではすでに全世帯へ4400円相当を配布し、子育て世帯には倍額支給するなど先行事例が生まれており、政府は今月下旬の総合経済対策に正式位置づけを行う見通しだ。国産コメの需給調整と家計支援を兼ねた新たな経済政策として、全国自治体への展開が注目されている。

 物価上昇が続くなか、コメ関連株にも思惑買いが広がっている。木徳神糧やヤマタネは業績上方修正にもかかわらず株価が調整しており、投資家の間では「リバウンド期待」が高まる。木徳神糧のPERは5倍と低水準、ヤマタネも11倍と割安で、実需と政策支援を背景に再評価の動きが浮上している。市場では一部で「令和の米騒動」との言葉も聞かれ、食料政策と市場心理が交錯する様相を呈している。

 今後の焦点は、鈴木農政による2026年産米の減産方針がどのように需給バランスへ作用するかである。肥料・農機関連は一時の追い風が弱まるものの、井関農機やクボタ、包装資材ののむら産業、保冷機器のムトー精工など、周辺銘柄は底堅さを保つ見込みだ。外食業界向けに米国産を扱う兼松なども輸入需要の恩恵を受ける可能性がある。生活支援策と株式市場の思惑が交錯する中、「おこめ券」は消費者と投資家双方にとって年末のキーワードとなりそうである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る