
■電力株の再浮上――生成AIと猛暑の“電力トリガー”
東京電力ホールディングスや関西電力などの電力株が、内需ディフェンシブ銘柄として投資家からの注目を集めている。7月2日に報じられた、両社によるデータセンター向け送電網の増強投資がきっかけとなり、生成AI関連の新たな買い材料として浮上している。電力株はバリュー株としても評価が高く、低PER・PBRや高配当利回りといった投資妙味を持つ点が注目される。
■再び脚光浴びる半導体・データセンター特需
北海道・九州などでの半導体工場の稼働とともに、一度買われた電力株が、今度はデータセンター投資を背景に再び脚光を浴びている。東京電力HDはPER3.7倍、PBR0.32倍と依然として割安評価が続き、北海道電力や九州電力なども同様の水準にある。加えて、記録的な猛暑による電力需給の逼迫や、原子力発電の再稼働といった背景が、電力株にとっての“トリプルスリー”メリットとして市場に認識され始めている。PBRが1倍に達するだけでも、現状株価から3割から2倍の上昇余地があると試算されている。
■電気工事関連にも波及する投資マネー
電力工事関連株もまた割安感から買いが進んでおり、九電工は年初来高値を連日更新。PERは13.6倍と市場平均を下回る水準で、他の電力系工事株も割安さが際立つ。北海電工、トーエネック、中電工などはいずれもPBRが1倍未満で、高配当利回りを誇る銘柄が多い。中でも四電工は4.98%の利回りでトップ、トーエネックや東京エネシスも4%超えと投資魅力が高まっている。業績に加えて財務の健全性を重視する投資家層からの評価が進みそうだ。
■電線・冷却機器・変圧器にも連鎖する“電力シフト”
変圧器や電力供給システムを手掛ける東光高岳や戸上電機なども、PBR1倍未満、PER6倍〜8倍というバリュー指標で市場の関心を集める。データセンター向け冷却装置を手掛ける三桜工業やMCJも割安感から“穴株”として注目が高まっている。電線関連では、住友電気工業が年初来高値を更新しながらもPER13倍、PBR1.09倍、配当利回り3.12%と割安で、「電線音頭相場2.0」の再来も意識される局面となっている。電力インフラ関連の広がりが市場全体を押し上げる構図が鮮明だ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)