【どう見るこの相場】パンデミックと地政学リスクの100年は新型コロナ関連株への原点回帰をリード

どう見るこの相場

 100年前のパンデミック(世界的な感染爆発)より目の前のパンデミックである。もう誰も、100年前の1918年のパンデミックである「スペイン風邪」に言及することがなくなったようである。新型コロナウイルス感染症のウイルスが、中国・武漢市の海鮮市場から漏れ出して瞬く間に世界各地に拡散した2020年初めとは大違いだ。スペイン風邪の全世界の感染者は5億人と推定され、今回も4月13日現在の米国ジョン・ホプキンス大学調べで5億人を超え肩を並べたにもかかわらずである。

 スペイン風邪が、第3波までのパンデミックであったのに対して、今回は、日本では第6波まで悪化し、しかもウイルスが次々に変異し、さらに感染力の強い変異株「XE」まで確認されており、スペイン風邪どころではないというところだろうか。しかしこのスペイン風邪が、地政学リスクとの関連でもう一度、見直され「温故知新」となるのではないかと、ネットの書き込みなどを目にすると素人判断ながら秘かに注目したくなる。地政学リスクとは、スペイン風邪当時が第一次世界大戦、今回は、もちろんロシアのウクライナへの軍事侵攻である。歴史は繰り返さないが、韻を踏むである。

 第一次世界大戦は、1914年7月から1918年11月まで7000万人以上の軍人が動員された史上最大の戦争で、戦線が膠着した塹壕戦のなか、悪天候と毒ガス攻撃のなか人的消耗が激しく、後半の1918年からはスペイン風邪に罹患し多くの兵士が死亡したほか戦闘不能になったといわれている。さらにスペイン風邪のパンデミックとともに、欧州では少なくとも2000万人が死亡し、なかでも徴兵対象の成人男性の死亡率が高く、補充兵力の確保に支障を来したことが、第一次大戦の休戦協定締結の一つの理由にもなったともされている。

 今回も、ロシアは、無差別攻撃、残虐行為が世界中から戦争犯罪とブーイングを浴び、経済制裁も強化されるなか、兵力をウクライナ東部に集中し大規模攻撃を準備していると伝えられている。迎え撃つウクライナも、NATO(北大西洋条約機構)各国の軍事支援を受け徹底抗戦の構えである。テレビ画像に映る現地のウクライナとロシアの軍人も市民も、マスクの着用がなく、新型コロナウイルス感染症どころではない非常事態に置かれていると推察される。しかし戦線そのものが膠着し長期化するようなことがあれば、スペイン風邪と同様に補充兵力の問題が発生し、停戦合意に至る可能性もあるかもしれないのである。

 ということで、今週の当特集では、この100年を隔てた「温故知新」は、新型コロナウイルス感染症の関連株への原点回帰をリ-ドしているのではないかと自分流に勝手読みして取り上げることとした。折から国内では、「第6波」収束で「まん延防止等重点措置」が、3月21日に解除されたにもかかわらず新規感染者がリバウンドから増加に転じて「第7波」への懸念を強めている。4月末からはゴールデンウイーク入りとなるだけに、厳重警戒が呼び掛けられている。

 関連株は、もちろん「三密回避」のマスク、除菌剤やワクチン、治療薬などの関連株がベースとなる。しかしここでは少し視点を変えてみた。オミクロン株の感染拡大が始まった今年1月以降に、東証の適時開示情報欄のリリース掲載やマスコミへの露出度の多くなった銘柄をまず取り上げることとした。例えば新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まった2020年当初の該当株は、ワクチン開発のアンジェス<4563>(東証グロース)であったが、ここに来て目立っているのは、今年2月25日に治療薬の製造販売承認申請の塩野義製薬<4507>(東証プライム)といった具合である。

 ゴールデンウイーク前後に「第7波」の懸念が強まるなどとするとお叱りを受けそうだが、「転ばぬ先の杖」として新旧の関連株、定番銘柄にスタンバイするのも一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る