【アナリスト水田雅展の銘柄分析】カナモトの今期業績見通しは増額の可能性、目先的な売りが一巡して反発局面

銘柄分析

 建設機械レンタル大手のカナモト<9678>(東1)の株価は、15年10月期業績の慎重な会社見通しにより急落し、12月16日の3000円まで調整した。ただし売られ過ぎ感を強めている。15年10月期業績見通しは増額の可能性が高く、予想連結PERが低下して指標面の割安感も強くなった。目先的な売りが一巡して反発局面だろう。

 建設機械レンタルを主力として、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタルなども展開している。北海道を地盤に東北、関東、中部、近畿、九州にも営業拠点網を拡充して全国展開し、12年6月に道路建機レンタルと道路工事施工のユナイトを子会社化した。環境保全設備や地下施設建設機械などの製造・レンタルを手掛ける子会社KGフローテクノは14年4月、中国・上海に現地法人を設立した。

 14年9月には新長期ビジョンおよび中期経営計画を発表している。55期となる5年後の19年を見据えたグループの目指す姿を新長期ビジョン「BULL55」として示した。その実現に向けた実行計画である17年までの3ヵ年中期経営計画「BULL53」では、目標数値として17年10月期売上高1500億円、営業利益190億円、ROA5.0%以上、ROE10%以上などを掲げている。

 12月10日発表の前期(14年10月期)連結業績は、売上高が前々期比13.3%増の1255億55百万円、営業利益が同44.4%増の164億54百万円、経常利益が同45.2%増の160億78百万円、そして純利益が同60.1%増の92億99百万円だった。建機レンタル需要が好調に推移して売上高、利益とも計画を上回る増収増益だった。配当予想については会社設立50周年記念配当15円を含めて年間35円(第2四半期末15円、期末20円)とした。前々期との比較では15円増配だった。

 今期(15年10月期)の連結業績見通し(12月10日公表)は売上高が前期比2.4%増の1286億円、営業利益が同3.1%増の169億60百万円、経常利益が同3.3%増の166億10百万円、純利益が同2.4%増の95億20百万円、配当予想が記念配当を落として同5円減配の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。

 東北や首都圏では建設需要が底堅く推移するが、その他地方の建設需要は財政支出が減少傾向で公共工事に不透明感を増していることや、技能労働者不足による入札不調や着工遅延などの懸念もあるため、今期の伸び率は小幅にとどまる見通しとした。慎重な見通しだ。

 ただし震災復旧・復興関連工事、防災・減災・耐震化関連工事、老朽化インフラ補修・更新関連工事、都市再開発関連工事、激甚災害現場の復旧工事などが活発であり、リニア新幹線着工や20年東京夏季五輪に向けた工事の増加なども背景として、建機レンタル需要は高水準で推移することが予想される。会社見通しは保守的で通期業績見通しは増額の可能性が高いだろう。中期的に良好な事業環境に変化はない。

 株価の動きを見ると、3800円近辺でモミ合う展開だったが、今期業績の慎重な会社見通しや減配もあり急落し、12月16日には3000円まで調整した。ただし足元では下げ渋り感を強めている。目先的な売りがほぼ一巡したようだ。

 12月25日の終値3065円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS264円15銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1758円24銭で算出)は1.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線を割り込んでトレンド転換した形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が13%程度まで拡大して売られ過ぎ感を強めている。15年9月期業績見通しは増額の可能性が高く、予想連結PERが低下して指標面の割安感も強くなった。目先的な売りが一巡して反発局面だろう。

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