【どう見るこの株】トヨタ自動車の特許公開と株価

トヨタ燃料電池車MIRAI(ミライ)

■短期モミ合いだが、中期では水素の国策的テーマで8000円も

トヨタ自動車<7203>(東1・売買単位100株)が2015年1月6日、燃料電池車の関連特許を全面的に公開すると発表した。7日の株価は大きく買われている。今後の株価を展望した。

<Q>トヨタ自動車の株価が大きく買われているようだが。

<A>1月7日(水)の株価は185円高の7485円と昨年暮れから数えて5営業日ぶりに急反発した。水素をエネルギー源とした燃料電池車の関連特許約5860件を全面公開すると発表したことを好感した。

<Q>なぜ、好感するのか。特許といえば企業にとって宝物ではないのか。

<A>確かにその通りだ。特許を取得すれば独占的な強さを発揮することができる。それをやらなかったことは、目先の利益より将来的な利益という立場に立った考えではないかと思われる。一部で指摘されるような驕りではなく、むしろ、枯渇する石油資源やCO2排出による地球環境問題に対する同社の真摯な姿勢として評価できるのではなかろうか。水素エネルギーは車だけでなく、発電用などにも期待され化石燃料から開放される画期的なものといえる。企業の使命である「社会貢献」ということでは、今回のことは高く評価される。

<Q>株価はどう動く。

<A>短期的に見た場合、今回の特許公開材料で上値を追い続けるという展開にはならないだろう。中長期的な観点で燃料電池車が本格普及すれば競争が激しくなってもモノづくりに絶対の自信を持っている同社の優位性が揺るぐことはなく、むしろ、大きい効果が期待できるということにおいて有望といえる。

<Q>具体的に株価のデッサンは。

<A>足元では業績への影響が大きい為替が不安定な動きとなっていることが上値を押さえる。年初、1ドル・120円後半まで円安となっていた円相場が今日は一気に118円台に円高となっている。このまま円高傾向を強めれば、昨年12月8日の高値7873円を直ちに更新することは無理だろう。しかも、相場強弱の目安となる25日線(7516円)に対しても上回ることができていない。しばらくは円相場を見ながらの高値圏でのモミ合いだろう。ただ、水素が、『国策』のテーマとなっていることから今年前半には8000円台乗せが見込める可能性はあるだろう。

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