【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】『社会貢献』はサクセスフルエイジング達成の重要な因子

ドクター箱崎幸也 健康増進実践法

 「サクセスフル・エイジング」は、身体・精神的問題だけでなく、経済・社会的に健全であり、家族・友人・近隣との良好な相互関係によって構築されると、以前より欧米の考え方をご紹介しました。我が国でもサクセスフル・エイジングの条件として、同様の報告があります。紫田博先生(桜美林シナジー・4:1-14・2005)は、(1)長寿:病気や障害の回避としての「健康」、(2)高い生活の質:生活満足度、(3)高いProductivity(社会貢献)を必要3条件としています。

 嵯峨座先生(保健の科学・3:157-162・2013)は、高齢期への発達課題にうまく適応した人は、4条件(健康・長寿・社会的活動・満足度)が満たされる度合いが高くなると報告しています。健康・生活への満足度は従来からよく言われていますので、多くの方がいろいろな方法で取り組んでいるかと思います。

 高い社会貢献の達成では、隣近所との関係が希薄な現代社会では自らが積極的に社会貢献活動としての仕事やボランティア活動に取り組んでいく必要があります。私の周囲でもマンションの管理組合や町内会活動に関与している人は、生き生きと活動状況を話されていています。多くの患者さんに、サクセスフル・エイジング達成の重要な因子ですので、多少面倒でも社会活動に出来るだけ参加され長く続けて下さいと伝えています。

 先日もあるパーティー会場で、85歳になられた大先輩医師の近況報告がありました。心臓病を患い大手術を経験され、私を含め多くの後輩医師は主に自宅で療養されていると思っていました。しかし、大先輩は今でも特別養護老人ホームの施設長を務めており、認知症防止でボランティア活動の一環で働いていると話されました。

 この大先輩医師は「サクセスフル・エイジングを達成する社会貢献活動」をご存じないと思いますが、今までのキャリアの中で自然に身についた考えだと思います。私を含め医療従事者は、一生涯何らかの形で社会貢献活動に努める気概が大切であると再認識しました。また同時に参加者の多くが、「85歳になっても働かなくてはいけない」と何とも複雑な心境になりました。(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)

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