【アナリスト水田雅展の銘柄診断】新日本建物は強基調に転換に可能性、収益改善基調を評価して出直り展開

銘柄分析

 マンション・戸建販売の新日本建物<8893>(JQS)の株価は、急伸した12月8日の60円から反落して41円まで調整したが、10月~11月の安値圏40円割れ水準まで下押すことなく、1月8日には47円まで戻している。強基調に転換した可能性があり、収益改善基調を評価して出直り展開だろう。

 首都圏地盤の不動産デベロッパーで、流動化事業(他デベロッパー向けマンション用地販売)、マンション販売事業(自社開発物件の分譲、新築マンションの買取再販)、戸建販売事業(戸建住宅・宅地分譲)、その他事業(不動産賃貸や建築工事請負)を展開している。

 10年11月に提出した事業再生計画に基づいて、マンション販売事業の買取再販、流動化事業の専有卸、戸建住宅販売事業を主力として経営再建に取り組んでいる。そして前期(14年3月期)は事業再生計画決定後3期連続の最終黒字を達成し、前期末の自己資本比率は27.5%まで改善した。

 今期(15年3月期)の業績(非連結)見通し(5月9日公表)は、売上高が前期比14.4%増の123億円、営業利益が同1.2%増の6億70百万円、経常利益が同7.5%減の4億05百万円、純利益が同7.5%減の4億円としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比39.4%減収となり、営業利益、経常利益、純利益とも赤字だった。流動化事業の販売が0件(前年同期は2件)だったことに加えて、マンション販売戸数は36戸で同26戸減少し、戸建販売棟数は51棟で同8棟減少した。

 ただし売上総利益率は16.5%で前年同期の13.6%から2.9ポイント改善した。収益改善は着実に進展しているようだ。有利子負債圧縮など財務面の改善も着実に進展している。

 12月16日には分譲マンションプロジェクト「ルネサンス葛西 ザ・レジデンス」全24戸が完売したと発表している。下期には流動化事業の販売も予定しているようだ。通期ベースでは増収営業増益が期待され、収益改善基調に変化はないだろう。

 株価の動きを見ると、急伸した12月8日の60円から反落して41円まで調整したが、10月~11月の安値圏40円割れ水準まで下押すことなく、1月8日には47円まで戻している。収益改善基調を評価する動きだろう。

 1月8日の終値46円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS4円02銭で算出)は11~12倍近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS15円98銭で算出)は2.9倍近辺である。

 週足チャートで見ると、上向きに転じた13週移動平均線がサポートラインとなり、26週移動平均線突破の動きを強めている。強基調に転換した可能性があり、収益改善基調を評価して出直り展開だろう。

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