【編集長の視点】セレスは今期の最高業績を買い直しフィンテック関連株人気も上乗せして急反発

編集長の視点

 セレス<3696>(東マ)は、寄り付きの37円安から切り返し88円高の1590円と急反発し、今年1月15日につけた株式分割権利落ち後高値1827円を再び意識する動きを強めている。今年2月12日に発表した今2016年12月期業績が過去最高を更新すると予想され、とくに純利益が増益転換することを見直し買い再燃となっている。また昨年5月以来、相次いで仮想通貨関連の業務提携や出資を行っていることから、金融とIT(情報技術)を融合させるフィンテック関連株人気につながってフォローの材料となり、相場全般の先行き不透明感が強まるなか逆行高期待も高めている。

■今期純利益は2期ぶりに過去最高を更新しフィンテック関連の提携も相次ぐ

 同社の今12月期業績は、前期業績が期中の2回の上方修正値を上ぶれて着地したあとを受けて、売り上げ36億5200万円(前期比15.3%増)、営業利益5億2000万円(同11.8%増)、経常利益5億700万円(同10.6%増)、純利益3億2300万円(同20.1%増)と予想され、純利益は、事業拡大に伴う繰延税金資産取崩額の増加が一巡して増益転換、2014年12月期の過去最高(2億9300万円)を2期ぶりに更新する。ポイントメディア事業の会員数が、前期に「お財布.com」の事業譲り受けも加わり268万人に拡大し、採用課金型のアルバイト求人サイト「モッピージョブ」の広告掲載件数も、同じく1.7倍の1万7000件へ増加し、年末までに10万件へ伸ばすことを計画していることなどが要因となる。

 またフィンテック関連での提携は、ポイントメディア事業のO2O(オンライン・ツー・オフライン)事業の取り組みとして進めたもので、昨年5月に仮想通貨「ビットコイン」の総合サービスを提供するbitFlyer(東京都港区)、同8月にビットコインの決済サービスで国内最大手「coincheck」を提供するレジョプレス(東京都渋谷区)、同9月にブロックチェーン技術のベンチャー企業のorb(東京都港区)、同12月にビットコイン取引所とビットコインニュースサイトを運営するbitbank(東京都渋谷区)などと相次いだ。自民党では、フィンテックの促進を政府に求める提言案を取りまとめると報道されており、この先駆企業として存在感を強めることになる。

■分割勘案で実質最高値もフィンテック関連の逆行高特性を発揮しなお上値チャレンジ

 株価は、2014年10月に公開価格1860円でIPOされ、上場来高値3390円まで買い進まれ、2014年12月末に株式分割(1対2)の権利を2061円で落とした。権利落ち後は、落ち後安値679円から仮想通貨での提携をハヤすストップ高を交えて落ち後高値1827円まで2.69倍と大化け、再調整安値759円からは連続最高業績などを手掛かりに1798円と大きく戻し高値もみ合いを続けている。すでに株式分割を考慮すると実質では上場来高値を更新しているが、フィンテック関連の先駆株として逆行高特性を発揮し一段の上値チャレンジに拍車がかかろう。

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