【編集長の視点】サンバイオは最安値も再生細胞薬「SB623」の新臨床試験入りを先取りして突っ込み買い余地

編集長の視点

サンバイオ<4592>(東マ)は、52円安の1622円と5営業日続落して始まり、連日の上場来安値更新となっている。同社株は、今年4月8日に公開価格2000円で新規株式公開(IPO)され、公開価格を下回って1710円で初値をつけ、地相場模索を続けている。ただこの突っ込み場面は、再生医療のベンチャー企業として日本初の再生医療技術を米国のインフラに乗せることで事業化を加速させ、脳梗塞の再生細胞薬「SB623」のフェーズ2b臨床試験が、米国で今6月期下期に開始されることを見直し逆張り余地も示唆、直近IPO(新規株式公開)株買いが再燃する展開も想定される。

■昨年9月にFDAから新臨床試験の承認を受け今期下期に開始

「SB623」は、脳梗塞を含む脳卒中で損傷を受けた生体の機能を患者もしくはドナーの幹細胞などを用いて目的の細胞に分化/加工し、低位脳手術により細胞を脳内に直接移植して運動機能、感覚機能、認知機能を復元、活性化させる再生細胞薬で、これまでの再生医療でボトルネックとされた少数の患者による安全性/有効性の確認をフェーズ1/2aで確認するとともに、量産化・製造プロセスでも「死の谷」とされた量産化技術の開発に成功、世界各地で基本特許を取得している。同薬の臨床試験は、このフェーズ1/2aで治験者18人に対する6カ月間のフォローアップが終了し、昨年6月に米国食品医薬局(FDA)からフェーズ2b臨床試験開始の承認を得て、今期下期から症例数を増やして実施する。

脳に損傷を受け有効な治療法が存在しない患者数は世界的に多く、日本では123万人、米国では680万人に達すると推定されており、同薬のロイヤリティ収入と製品供給収入が同社の業績の中心で、大日本住友製薬<4506>(東1)と米国で共同開始される脳梗塞用フェーズ2b臨床試験では下期に12億円のマイルストン収入や、上期に3億7700万円、下期に4億9700万円の各開発協力金を見込んでいる。

今1月期業績は、昨年9月に大日本住友製薬と共同開発・ライスセンス契約した契約一時金の反動などで、売り上げが20億7400万円(前期比35.7%減)と減収転換し、利益も、新臨床試験の開発費17億3300万円、脳梗塞用途以外への適用拡大のための臨床開発費8億6600万円を計上し、経常利益を11億900万円の赤字(前期は22億2800万円の黒字)、純利益を9億2000万円の赤字(同17億3600万円の黒字)と予想している。

■「小さく生んで大きく育てる」セオリー通りに底値買い妙味を示唆

株価は、公開価格2000円を下回る1710円で初値をつけ、1930円と切り返したものの、再度、底値模索を続けている。IPO投資は、「小さく生んで大きく育てる」のがセオリーとなっており、この鉄則通りに突っ込み場面を拾い、まず公開価格奪回が期待される。(本紙編集長・浅妻昭治)

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