【アナリスト水田雅展の銘柄分析】セーラー万年筆は調整一巡感、収益改善基調やロボット機器関連を材料視してモミ合い上放れ

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 万年筆の老舗でロボット機器事業も展開するセーラー万年筆<7992>(東2)の株価は、36円~40円近辺でモミ合う展開だが調整一巡感を強めている。収益改善基調であり、ロボット機器関連も材料視してモミ合い上放れの展開が期待される。

 文具事業(万年筆、ボールペン、電子文具、景品払出機、ガラスCD、窓ガラス用断熱塗料など)、およびロボット機器事業(プラスチック射出成形品自動取出装置・自動組立装置など)を展開している。

 文具事業はブランド力の高い万年筆を主力に、中期成長に向けて電子文具への事業展開も加速している。ロボット機器事業は1969年に開発に着手した歴史を持ち、09年にはプラスチック射出成形品用自動取出ロボットで世界初の無線ハンディコントローラ搭載RZ-Σシリーズを開発した。

 前期(14年12月期)の連結業績見通し(7月31日に売上高を増額、利益を減額、10月31日に売上高、利益とも減額)は売上高が前期比13.4%増の62億65百万円、営業利益が80百万円の黒字(前期は2億87百万円の赤字)、経常利益が50百万円の赤字(同3億11百万円の赤字)、純利益が18百万円の黒字(同3億59百万円の赤字)としている。

 第3四半期累計(1月~9月)は前年同期比15.2%増収となり、営業利益、経常利益、純利益とも前年同期に比べて赤字幅が縮小した。セグメント別には、文具事業が同7.0%増収、ロボット機器事業が同37.4%増収だった。国内の文具事業およびロボット機器事業が消費増税の影響などで計画を下回ったが、米国子会社のロボット機器事業が好調のようだ。増収効果で営業損益が大幅に改善している。

 今期(15年12月期)はロボット機器事業が好調に推移し、高価格の上位機種の拡販も寄与するだろう。文具事業も消費増税の影響が一巡する。前期の営業外費用で計上した株式交付費用の一巡も寄与して収益改善基調だろう。

 中期経営計画(14年~16年)では数値目標として売上高経常利益率7%以上、有利子負債16億円以下を掲げている。基本戦略として、文具事業ではターゲットを絞った特徴ある製品の開発、新規販売チャネルの開拓、海外市場の再構築、新規事業(音声ペン、水処理機器)の推進、ロボット機器事業では射出成型機用取出ロボットの拡販を推進する方針だ。

 なお前期まで数期連続して当期純損失を計上し、前期第3四半期累計でも純損失を計上しているため、継続企業の前提に疑義の注記が付されている。

 株価の動きを見ると、14年10月に48円まで上伸する場面があったが、以降は概ね36円~40円近辺でモミ合う展開だ。ただし14年10月35円を割り込んで下押す動きは見られず調整一巡感を強めている。

 1月15日の終値37円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS16銭で算出)は231倍近辺、実績PBR(前期第3四半期累計実績の連結BPS16円48銭で算出)は2.2倍近辺である。

 週足チャートで見ると、上値が重く26週移動平均線を挟んでモミ合う展開だが、35円~36円近辺が下値支持線の形だ。収益改善基調であり、調整が一巡してモミ合い上放れの展開が期待される。

>>セーラー万年筆のMedia-IR企業情報

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