【編集長の視点】はてなは反落もソニーとの共同事業再評価と2Q高利益進捗業績を手掛かりに下値には買い物

 はてな<3930>(東マ)は、42円安の2120円と反落して始まっている。日経平均株価が、今年4月27日以来、フシ目の1万7000円台を回復し、きょう31日はこの水準でもみ合いとなっていることから同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。

 ただ同社株の下値には、今年3月31日に発表したソニー<6758>(東1)との共同事業開始を評価してストップ高し、ほぼ往って来いの調整となり、以来ほぼ2カ月に及ぶ25日移動平均線での三角保ち合いを続け、最終局面になっているとして再騰期待の買い物も入っている。今年2月24日の新規株式公開(IPO)後の初決算となった今7月期第2四半期(2Q)累計業績が、7月通期予想業績に対して順調な利益進捗率を示したこともフォローの材料視されている。

■4月に共同開発の新広告商品を販売し今夏に新コミュニティサービスもリリース

 同社は、ユーザーがコンテンツを発信するさまざまなUGCサービス(ユーザー発信コンテンツ)のパイオニア企業で、ユーザー同士がネット上のお薦め記事を共有するサイト「はてなブックマーク」の前期末現在での月間ユニークユーザー数は5400万人、登録ユーザー数も450万人に達している。ソニーとの共同事業は、ソニーが運営している無料ニュースアプリ「ニューススイート」のソフトウェアやネットワーク関連の技術力、グローバルな事業ネットワークと、「はてなブックマーク」で培ったユーザーコミュニティ醸成のサービス開発技術・運営ノウハウを融合して、新たに開発したインフィード型ネイティブ広告商品を今年4月に販売するほか、オンラインニュースコミュニティサービスのリリースを今年夏頃に予定している。ソニーの「ニューススイート」は、今年3月現在でインストール総数は4300万、日本、米国、英国などを中心に70カ国で展開され月間700万ユーザーに利用されているだけに、はてなの事業拡大を大きくフォローする。
 
 一方、はてなの今7月期2Q累計業績は、売り上げ7億2100万円、営業利益1億3900万円、経常利益1億3000万円、純利益8300万円で着地した。2Q累計業績は初作成で前年同期比較はないが、IPO時予想の7月通期業績に対する利益進捗率は、74~79%と目安の50%を上回った。7月通期業績はIPO時予想に変更はなく、売り上げ14億8000万円(前期比35.3%増)、営業利益1億8700万円(同8.6%増)、経常利益1億6600万円(同1.0%増)、純利益1億500万円(同91.7%増)と見込んでいる。

■25日線水準での2カ月にわたる三角保ち合いが煮詰まり上放れを示唆

 株価は、今年3月につけた上場来安値1801円からソニーとの共同事業開発でストップ高して2776円の戻り高値をつけ、上場来高値3355円から最安値までの調整幅の3分の2戻し水準目前までリバウンドした。足元では25日線での中段固めをほぼ2カ月続け、この煮詰まり感を強めて最終局面入り、保ち合い上放れを示唆している。ソニーとの新コミュニティサービスのリリースを先取る現実買いも上乗せとなってリバウンド幅を拡大しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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