【編集長の視点】フェニックスバイオは続落も連続の2倍超増益業績と新鮮ヒト肝細胞供給を手掛かりにバイオ株買いが再燃余地

 フェニックスバイオ<6190>(東マ)は、66円安の2901円と3日続落して始まっている。今年5月17日にストップ高を交えて上場来高値3775円まで買い進まれ、このとき開けたマド埋めを続け、週末を控え目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ下値には、今年5月13日に発表した今3月期業績の経常利益と純利益が、3ケタ増益と連続して高成長することを見直しバイオ株買いも入っている。決算と同時に発表した肝細胞培養プレート向けに新鮮ヒト肝細胞を供給することも、業績期待を強めている。

■海外製薬のB型肝炎関連向けにPXBマウスが拡大し薬物動態試験受託も続伸

 同社の今3月期業績は、売り上げ14億2200万円(前期比16.9%増)、営業利益3億5400万円(同86.5%増)、経常利益3億4700万円(同2.32倍)、純利益2億9900万円(同2.39倍)と予想され、経常利益は前期の2.38倍、純利益は同じく2.20倍に続き高成長する。同社は、肝細胞の70%以上がヒト肝細胞に置換された「ヒト肝細胞キメラマウス(PXBマウス)」を日本、米国で生産し、売り上げの約7割が抗B型肝炎ウイルス薬の薬効評価試験向けで占められており、海外製薬企業のB型肝炎関連の拡大やDMPK/Tox(薬物動態関連試験、安全性試験)関連の外部受託託が拡大することが寄与する。

 新鮮ヒト肝細胞の供給は、東洋合成工業<4970>(JQS)が、今年5月中旬から試験販売を開始したDILI(薬物性肝障害)予測試験用Ready to use 3D新鮮ヒト肝細胞培養プレート「PBXーable」の製造に関して、生物を生体に近い形態で培養することが可能な3次元細胞培養用プレート「Cellーable」向けにPBXマウスから採取したヒト肝細胞を納入、東洋合成の販売により販路拡大が図れる。

■25日線をサポートラインに下値を切り上げ最高値抜けから上値トライも

 株価は、今年3月に公開価格2400円で新規株式公開(IPO)され、公開価格割れの2350円で初値をつけたが、即ストップ高して3285円高値まで買い進まれた。同高値後は、上場来安値2230円まで売られるともにストップ高するなど、バイオ株特有の逆行高展開を続け、今期業績の連続倍増益予想でストップ高して上場来高値3775円と急伸し、このときに開けたマド埋めで3000円大台出没を続けてきた。テクニカル的にも最安値から25日移動平均線にサポートされて下値を切り上げており、足元は、25日線から6%超のマイナスかい離と下げ過ぎを示唆しており、25日線奪回で弾みをつけ最高値抜けから上値トライを強めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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