【アナリスト水田雅展の銘柄分析】東洋ドライルーブは戻り高値圏で堅調、15年6月期増額の可能性など評価材料に14年1月高値試す

銘柄分析

 ドライルーブ製品コーティング加工の東洋ドライルーブ<4976>(JQS)の株価は、12月の戻り高値1730円から一旦反落したが、1月13日の直近安値1650円から切り返している。戻り高値圏で堅調な動きだ。今期(15年6月期)業績に増額の可能性があり、低PERと低PBRも評価材料として14年1月高値1735円を試す展開だろう。なお2月6日に第2四半期累計(7月~12月)の業績発表を予定している。

 ドライルーブ(固体皮膜潤滑剤)製品のコーティング加工を主力として、その他事業ではナノカーボン製品の製造も展開している。海外は中国、タイ、ベトナムに展開している。

 ドライルーブとは、二硫化モリブデン、フッ素樹脂、グラファイトなどの潤滑物質と各種特殊バインダーをハイブリッド配合し、各種溶剤または水に分散させた有機結合型の多機能皮膜である。ドライルーブでコーティング加工することにより各種素材の摩擦係数を大幅に低減できるなど、耐摩耗性に優れているため自動車機器、デジタル家電、デジタルカメラなどの駆動伝達部で、オイルやグリースなどの液体潤滑剤を使用できない部位にコーティング皮膜として使用される。

 中期成長に向けた事業戦略では、新製品・新加工技術の開発、アジア地域を中心としたグローバル展開、海外連結子会社の生産性改善を積極推進する方針だ。新製品では発熱皮膜、放熱皮膜、撥水・撥油皮膜、DLC皮膜、SUS316コート、ナノシルバーコートなどを開発している。

 今期(15年6月期)の連結業績見通し(8月8日公表)は、売上高が前期比1.9%減の50億30百万円、営業利益が同21.9%減の3億06百万円、経常利益が同9.1%減の3億68百万円、純利益が同17.9%減の2億47百万円、配当予想が前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。

 自動車機器業界向けは底堅い受注を見込んでいるが、電気・電子機器業界向けがや低調となり、利益面では販売価格引き下げ要請などが影響して減収減益見込みとしている。

 第1四半期(7月~9月)は、国内の消費増税前駆け込み需要の反動減などの影響を受けて前年同期比3.9%減収、同24.1%営業減益だったが、営業外での為替差益計上などが寄与して経常利益は同74.9%増益、純利益は同2.1倍増益だった。

 通期見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が24.0%、営業利益が26.5%、経常利益が43.5%、純利益が34.4%である。期後半に向けて自動車や光学機器の生産増加が期待され、コスト低減効果、営業外での為替差益や持分法投資利益も寄与して通期見通しに増額の可能性があるだろう。

 株価の動きを見ると、14年12月の戻り高値1730円から一旦反落したが、1月13日の直近安値1650円から切り返している。戻り高値圏で堅調な動きだ。

 1月19日の終値1689円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS186円55銭で算出)は9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS4276円42銭で算出)は0.4倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認した。今期業績見通し増額の可能性、そして低PERと低PBRも評価材料として14年1月高値1735円を試す展開だろう。

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