【材料でみる株価】子育て支援最大手JPホールディングスが補助金申請しない新タイプ学童クラブを9月にオープン、『強い大人になろう』目指すクラブ

 JPホールディングス<2749>(東1・100株)は、新タイプの学童クラブ『AEL』(アエル)の第1号店を2016年9月1日に東京都文京区湯島にオープンする。定員が85名、床面積は約105坪とこれまでの学童クラブと比べて2倍以上となる。

 同社は、待機児童問題をいち早く捉えた経営を展開してきたことから現在では自治体の許認可を得た保育所を159施設、学童クラブを55施設、児童館を10施設、合計224(2016年3月期末)の園・施設を全国で運営する「子育て支援」の業界最大手である。

 同社の収入は、自治体からの「施設型給付」、「補助金」等が中心だが、今回の学童クラブは、補助金を申請せず、マーケットニーズに対応したコンセプトでの業態開発であり同社にとって新業態への転換という大きい意味を含んでいる。

 学童クラブは、保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて健全な育成を図ることが目的となっている。

 同社の荻田和宏社長(写真)は、新タイプの学童クラブ開設の背景について次のように語る。「当社グループは認可保育園などをどこよりも早く展開してきたが、いずれ、園・施設が充足する日はやって来る。それほど遠くないと思う。その日に備えて税が主となる事業とは別の自主的なことをやりたいと1~2年前から思っていた。今回の1号店に続いて2号店は都内、3号店は石垣島で予定している。その先は、まだ具体的に決めていないが、年間5店ペースでやりたいという気持は持っている」という。

 新タイプの学童クラブは、どのようなイメージでしょうか。「キャッチフレーズで言うなら、『強い大人になろう』。そのために、生きるための基本になるところを鍛える、とくに、読書は大切だと思う。子供の頃から本をよく読むほど思考力の高い大人になれるはず。本を読まない子供が増えているので読書を習慣化させたい。子供たちで物事を自主的に話し合って決めるといったコミニユケーション力など、生きるための基本的な力を養うことに力を入れる。さらに、英語、国語、算数などの習い事もできる。このため、AELでは、『学童保育』、『ライフスキル』、『習い事』が1カ所で受けられる。塾とは違ったコンセプトだから競合はしない」(荻田社長)という。

 保護者の払う費用は月額7万円ていど、これに習い事を加えると月10万円程度となるもよう。第1号店の東京湯島の学童クラブは年間5000万円以上の売上となる見通し。仮に、年5店ペースで新学童クラブが寄与するようになれば同社の業績は飛躍が期待できる。

 長年、子育て支援事業に携わってきたノウハウの活用で自主運営学童クラブの成功はまず間違いないだろう。また、先行きは、自主運営で得るノウハウを現在の認可園・施設にフィードバックすることによる効果も期待される。たとえば、既存の学童クラブでは作文はできないことになっているようだが、自治体の一部では導入(有料)を認める動きもある。

 2017年3月期は売上8.7%増の223億4000万円と増収だが、営業利益は保育士確保のための人件費増で14.8%減の15億6400万円の見通し。保育士さえ確保できれば業績はかなりの上積みが見込めるが、その保育士不足問題については、品川にオフィス(東京支店)を移したことで、とくに、学生からの反応がよいというからこの問題でも優位性を発揮するだろう。

 株価は4月の高値438円から調整だが、去る2月の安値231円を下回ることなく250円(6月24日)で底打ちし290円台に戻している。今回の新事業を好感して先ず350~370円どころのフシ、次いで高値挑戦とみられる。

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