【話題】「競馬人気」復活か!東京都競馬のネット投票システム普及し藤田菜七子騎手の人気も拍車

■中央競馬が4%増加し地方競馬は13%増加、競艇は4%増加し競輪は横ばい

 東京都競馬<9672>(東1・売買単位千株)の2016年度・第2四半期の業績(16年1~6月累計・連結)は、各事業部門の利益の中で競馬・オートレースを中心とする「公営競技事業」の伸びが目立ち、とりわけ競馬人気の回復を示唆する決算となった。

 同社は、「ナイター競馬」で知られる大井競馬場(東京都品川区)や伊勢崎オートレース施設(群馬県伊勢崎市)、関東甲信越地区の各場外発売施設、牧場などを所有し、これらの施設を競馬主催者である地方公共団体(特別区競馬組合)などに賃貸するほか、ウォータースライダーなどで東京っ子におなじみの「東京サマーランド」(東京都あきる野市)を中心とする遊園地事業、倉庫賃貸事業などを展開している。

 第2四半期の累計業績を主な部門別でみると、売上高の大きい順に、公営競技事業の売上高は49.8億円(前年同期比10.5%増加)、倉庫賃貸事業の売上高は21.8億円(同3.2%減)、遊園地事業の売上高は5.2億円(同14.3%増)となった。

 一方、日本国内の主な公営競技の投票券の売り上げ状況(1~6月)は、同社が所属する地方競馬が前年同期の約113%、日本中央競馬会・JRAの中央競馬が同じく約104%、競艇は約104%、オートレースは同じく約101%、競輪は同約100%。日本全体で見ても「競馬」の伸びが目立っている。

■ネット投票システム「SPAT4」経由の売上高は2年で3倍に

 今年の競馬界は、JRAから16年ぶりの女性騎手としてデビューした藤田菜七子(ななこ)騎手の人気がブーム再来を巻き起こしたといえるが、それを醸成し開花させる基盤として、東京都競馬が運営するインターネット投票システム「SPAT4」(スパットフォー、ほぼすべての地方競馬を発売)や、楽天市場の「競馬モール」などによって競馬が身近な存在になってきたことも欠かせない要因とされている。藤田騎手は中央競馬の所属になり、地方競馬でも騎乗するが、彼女の人気だけでは地方競馬の伸びを説明しきれない面がある。

 「SPAT4」による投票券の売上高は、2013年度の約300億円が15年度には約1000億円へと3倍に急増した。無料で登録できるプレミアムポイント(PP)会員は購入額に応じてポイントが貯まり、キャッシュバックやグッズ交換などに利用できるとあって、PP会員数も2年で約3倍に増加している。

■セグメント利益は「公営競技事業」がトップ奪回

 こうした競馬人気の再来を受け、東京都競馬では、1~6月のセグメント利益(部門別収益)が「長らくトップだった倉庫賃貸事業の利益を公営競技事業の利益が上回った」(同社)。遊園地事業は7~9月が繁忙期という要因もあり赤字だったが、1~6月の全社的な連結業績は、売上高が前年同期比8.8%増加して86億3100万円となり、経常利益は同じく7.3%増加し17億9100万円に、純利益は同3.4%増加して11億7200万円となった。

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