メディカル・データ・ビジョンは今12月期の業績見通しを増額修正し売上高は前単独決算比24%増の見通し

株式市場 銘柄

■業績は下期偏重型、来期から「投資回収フェーズ」に移行

 医療ビッグデータ関連事業を展開するメディカル・データ・ビジョン<3902>(東マ)は8月8日、2016年12月期・第2四半期決算(16年1~6月)を発表した。この第2四半期から連結会計に移行したため前年同期との比較はないが、売上高は10億3600万円(前年同期の単体売上高は9億5400万円)となり、営業利益は700万円の赤字(同2800万円の赤字)となるなど、「下期偏重型の当社としては計画通り」(岩崎博之社長)の推移となった。12月通期の見通しは前回5月発表分を小幅だが増額した。

 同社は2003年の創業以来、膨大に蓄積された医療・健康情報を多面的に生かすサービスを展開。創業から2014年12月期までの「第1・第2フェーズ」を経て、15年12月期から16年12月期は「第3フェーズ」(投資フェーズ)と位置づけてデータ基盤の拡充や業務提携などを進め、来期・17年12月期からは「第4フェーズ」(投資回収フェーズ)に移行する計画だ。

 この第2四半期(16年1~6月)は、こうしたステップ(投資期間)の最終年度として、データ基盤のブラッシュアップやセキュリティにかかわるコストの積極的な投下などを行い、電子カルテメーカー2社との提携に向けた準備も進めてきた。

 ちょうど8月8日付では、電子カルテでトップクラスのシェアを持つCEホールディングス<4320>(東1)の電子カルテシステム開発販売会社・シーエスアイ(CSI)との業務提携を締結し、一段の事業拡大に向けた基盤がひとつ整った。

 同社は、中長期的に、診療データのリアルタイム性と多様性を向上させることで、データ利活用事業の拡大を図る計画を進めている。そのための施策として、自身の診療情報の一部(≒カルテ情報)を管理・閲覧できる患者向けのWEBサービス「カルテコ」などの仕組みを含む「CADA-BOX(カーダボックス:仮称)」を、既存の電子カルテシステムと連携させることで、個人から同意を得た多様性のある診療情報をリアルタイムに蓄積するスキームを確立した。電子カルテメーカーにとって当該スキームは、他社製品との大きな差別化が期待できるとして期待されている。「CADA-BOX(仮称)」の本格的な提供は16年秋以降を予定している。

 16年12月期の連結業績見通しは、売上高を前回5月発表分から100万円増額して30億100万円(前期の個別実績比24.4%増加)とし、営業利益も同じく100万円増額して3億300万円(同7.3%増加)とした。純利益は据え置き1億7400万円(同6.5%増加)、1株利益は18円42銭の計画だ。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る