【アナリスト水田雅展の銘柄診断】協立情報通信は高値圏での自律調整一巡、15年2月期増額の可能性を評価して上値追い

銘柄分析

 ソリューション事業やモバイル事業を展開する協立情報通信<3670>(JQS)の株価は、1月5日の昨年来高値2258円から一旦反落したが、1月14日1938円から切り返しの動きを強めている。高値圏での自律調整が一巡したようだ。今期(15年2月期)業績見通し増額の可能性や、2月期末一括で2%台後半の配当利回りを評価して上値追いの展開だろう。上げ足に弾みがつけば13年6月以来の3000円台も視野に入りそうだ。

 法人向けソリューション事業(情報通信システムソリューション、会計情報ソリューション、情報活用教育ソリューション、情報活用レンタルソリューション)、およびモバイル事業(法人向けモバイルソリューション、ドコモショップ6店舗運営)を展開している。

 企業のICT(情報通信技術)化の実現に向けて、NEC<6701>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、NTTドコモ<9437>、サイボウズ<4776>、日本マイクロソフトなどパートナー企業の製品・サービスを融合し、情報通信インフラ機器の販売だけでなく、システム構築から導入・保守・運用・教育までをソリューションとして提供している。

 ソリューション事業では、情報通信システムソリューションでNECの構内交換機(PBX)、会計情報ソリューションでオービックビジネスコンサルタントの「奉行シリーズ」をベースとして、中堅・中小企業向けを中心に情報インフラ、情報コンテンツ、情報活用支援(プラクティカルユース)の3分野を統合した経営情報ソリューションをワンストップサービスで提供していることが強みだ。また常設デモスペースの体感型フューチャーラボ「情報創造コミュニティー」において製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。

 モバイル事業では、NTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ6店舗(東京都内2店舗、埼玉県内4店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューションを展開している。

 なお1月19日に、入居先ビルの建て替えに伴ってドコモショップ八丁堀店および情報創造コミュニティーを移転した。3年間の仮移転の予定で、ドコモショップ八丁堀店をドコモショップ茅場町店に名称変更した。

 1月13日発表の今期(15年2月期)第3四半期累計(3月~11月)の業績(非連結)は、売上高が前年同期比12.2%増の43億57百万円、営業利益が同89.6%増の2億16百万円、経常利益が同88.6%増の2億16百万円、純利益が同2.2倍の1億39百万円だった。

 ソリューション事業、モバイル事業とも増収増益だった。ドコモショップ八丁堀店と情報創造コミュニティーの移転に伴い、移転先ビルの賃借料発生や固定資産の償却期間短縮で販管費が増加したが、NTTドコモ手数料改定の影響が小幅にとどまり、人員再配置の効果も寄与してモバイル事業の営業損益が大幅に改善した。

 通期の業績(非連結)見通しは前回予想(4月11日公表)を据え置いて売上高が前期比5.0%増の56億02百万円、営業利益が同15.7%増の2億48百万円、経常利益が同15.3%増の2億48百万円、そして純利益が同7.0%増の1億38百万円としている。

 モバイル事業の好調などを受けてセグメント別の計画は修正した。修正後のソリューション事業は売上高が同0.5%増の17億60百万円、営業利益が同19.4%減の1億70百万円、そしてモバイル事業は売上高が同7.2%増の38億42百万円、営業利益が78百万円(前期は3百万円)とした。

 配当予想については1月13日に増額修正を発表し、前回予想に対して創業50周年記念配当5円を増額して年間55円(期末一括)とした。前期との比較では5円増配となる。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が77.8%、営業利益が87.2%、経常利益が87.4%、純利益が100.8%と高水準である。ソリューション事業における営業費用の増加に加えて、第4四半期(12月~2月)に移転関連費用が発生するとして通期会社見通しを据え置いているが、増額の可能性が高いだろう。

 来期(16年2月期)についても収益拡大が期待される。パートナーとの共創展開(共同営業やセミナー・イベントの共同開催)の効果で情報創造コミュニティーへの来場社数は増加基調であり、ソリューション事業では15年夏予定の「Windows Server 2003」サポート終了に伴う移行案件などが好調に推移する。パートナーとの協業強化による既存顧客深耕や新規顧客獲得も寄与する。

 企業のICT投資需要は「クラウド」「モバイル」「セキュリティー」をキーワードとして、高水準に推移することが予想されるため、法人向けソリューション提案力向上によって付加価値(サービス)提供へのシフトを加速する。またモバイル事業では、顧客囲い込みに向けたドコモマイショップへの加入促進も強化する。

 ストック型収益モデルを強化して利益率を一段と向上させる方針であり、中期経営計画では目標値として17年2月期売上高76億20百万円、営業利益7億04百万円を掲げている。中期的に収益拡大基調で一段の高収益化も期待される。

 株主優待制度については、毎年2月末時点で500株以上~1000株未満保有株主に対して島根県仁多郡産コシヒカリ「仁多米」2kg(1500円相当)、そして1000株以上保有株主に対して同5kg(3700円相当)を贈呈する。

 株価の動きを見ると、1800円~2000円近辺でのボックス展開から上放れ、昨年来高値となる1月5日の2258円まで上伸した。その後は利益確定売りで一旦反落したが、1月14日1938円から切り返しの動きを強めている。第3四半期累計の大幅増益を好感し、高値圏での自律調整が一巡したようだ。

 1月23日の終値2150円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS115円72銭で算出)は18~19倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間55円で算出)は2.6%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS751円39銭で算出)は2.9倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調に転換したようだ。今期業績見通し増額の可能性、2月期末一括で2%台後半の配当利回り、株主優待制度を評価して上値追いの展開だろう。上げ足に弾みがつけば13年6月以来の3000円台も視野に入りそうだ。

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