【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ビー・エム・エルは今期減益見通しだが保守的な印象、調整一巡して出直り

銘柄分析

 受託臨床検査大手のビー・エム・エル<4694>(東1)の株価は、やや水準を切り下げたが、3000円近辺から切り返しの動きを強めて1月26日は3190円まで上伸した。今期(15年3月期)減益見通しだが保守的な印象も強い。調整が一巡して出直り展開だろう。なお2月9日に第3四半期累計(4月~12月)の業績発表を予定している。

 臨床検査事業を主力として、腸内細菌検査や食品衛生コンサルティングなどの食品衛生検査事業、電子カルテなどの医療情報システム事業、そしてSMO(治験支援)事業も展開している。

 事業基盤強化と収益力向上に向けてM&Aの積極活用、臨床検査事業でのクリニック市場の開拓、既存ユーザーへの深耕、首都圏のラボ拠点再編、ピロリ菌関連検査やアレルギー検査など重点検査項目の拡販、子会社の経営合理化、食品衛生事業での腸内細菌検査やノロウイルス検査などの拡販、新検査センター開設(14年5月、埼玉県川越市)に伴う検査領域・検査数量の拡大、厚生労働省の「登録検査機関」の資格取得、医療情報システム事業での電子カルテ「クオリス」のブランド向上などを推進している。14年6月には岡山医学検査センター(岡山県倉敷市)を子会社化した。

 海外は13年12月、中国・上海に合弁会社(上海千麦博米楽医学検験所有限公司)を設立した。現地で臨床検査センター運営の実績を持つ上海千麦医療投資管理有限公司、および上海新虹橋国際医学中心建設発展有限公司と3社合弁で、中国でも臨床検査受託事業を展開する。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(8月14日に売上高を増額、利益を減額)は、売上高が前期比5.4%増の1043億50百万円、営業利益が同18.8%減の66億50百万円、経常利益が同17.9%減の70億50百万円、純利益が同23.6%減の38億10百万円としている。

 配当予想(5月12日公表)は、記念配当10円を実施して同10円増配の年間60円(第2四半期末25円、期末35円)(期末35円=普通配当25円+記念配当10円)としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は診療報酬改定、消費増税に伴う受診控え、競争激化による価格下落、岡山医学検査センターのれん代などが影響して減益だった。しかし売上面ではクリニック市場での新規開拓強化、重点検査項目の営業推進強化、岡山医学検査センターの新規連結などで同5.8%増収と好調だった。

 そして売上高、利益とも8月14日の減額修正値を上回り、通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高50.8%、営業利益62.9%、経常利益62.0%、純利益63.8%と高水準である。

 通期ベースでは岡山医学検査センターの株式取得に係るのれん負担増も影響するとしているが、クリニック市場での新規開拓強化や既存ユーザーへの深耕営業の効果も期待される。修正後の通期見通しは保守的な印象が強く増額余地があるだろう。

 株価の動きを見ると、3400円~3500円近辺でのモミ合いから水準を切り下げる展開となった。ただし3000円近辺から切り返しの動きを強めて1月26日は3190円まで上伸した。調整が一巡したようだ。

 1月26日の終値3190円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS179円39銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は1.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2598円60銭で算出)は1.2倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが、3000円近辺から反発の動きを強めている。また日足チャートで見ると、戻りを押さえていた25日移動平均線を突破した。調整が一巡して出直り展開だろう。

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