【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ゼリア新薬工業は調整一巡、今期減益見通しを織り込んで反発局面

銘柄分析

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)の株価は安値圏での展開が続き、1月23日には13年9月以来の安値水準となる1876円まで調整した。ただし26日は前日比75円高の1959円まで反発した。今期(15年3月期)減益見通しは織り込み済みであり、調整が一巡して反発局面だろう。

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」、H2受容体拮抗剤「アシノン」、亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」を主力としている。13年6月には自社開発新薬の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。コンシューマーヘルスケア事業では「コンドロイチン群」「ヘパリーゼ群」「ウィズワン群」を主力としている。

 M&Aを活用してグローバル展開も推進し、08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結し、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月にはエーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与する。開発は当社が行い、製造販売承認も当社が取得する。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を、全国の薬局・薬店・ドラッグストアで販売開始した。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(10月31日に減額修正)は売上高が前期比3.2%増の640億円、営業利益が同26.4%減の50億円、経常利益が同26.5%減の50億円、純利益が同18.5%減の43億円としている。

 配当予想(5月13日公表)は年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。13年10月1日付の株式分割(1株を1.1株に分割)を考慮すると、実質的に前期比2円50銭増配となる。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比0.1%増収、同43.9%営業減益、同46.9%経常減益、同36.6%最終減益だった。医療用医薬品事業は薬価改定や消費増税の影響、ロイヤリティ収入の減少などで同9.1%減収と低調だった。コンシューマーヘルスケア事業は同15.2%増収だったが、天候不順の影響などで計画を下回った。

 第2四半期累計が計画を下回ったことに加えて、今後の研究開発費や広告宣伝費などの増加を考慮して通期見通しも減額修正した。ただし下期は消費増税や天候不順の影響一巡、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透などで収益改善が期待される。

 株主優待については毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上~1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

 株価の動きを見ると、今期業績見通しの減額修正を嫌気して安値圏での展開が続いている。1月23日には13年9月以来の安値水準となる1876円まで調整した。ただし26日は前日比75円(3.98%)高の1959円まで反発した。調整のほぼ最終局面だろう。

 1月26日の終値1957円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS80円95銭で算出)は24倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1105円78銭で算出)は1.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると抵抗線の13週移動平均線突破の動きを強めている。今期減益見通しは織り込み済みであり、調整が一巡して反発局面だろう。

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