【アナリスト水田雅展の銘柄分析】日本アジアグループは調整一巡感、営業損益改善基調を評価して切り返し

銘柄分析

 社会インフラ関連やメガソーラー関連の日本アジアグループ<3751>(東マ)の株価は、14年11月の戻り高値735円から反落して1月16日の551円まで調整したが、調整一巡感も強めている。営業損益改善基調を評価して切り返しのタイミングだろう。なお2月12日に第3四半期累計(4月~12月)の業績発表を予定している。

 インフラ・環境・エネルギー関連にグループ経営資源を集中し、空間情報コンサルティング事業(国際航業の防災・減災・社会インフラ関連事業)、グリーンプロパティ事業(土壌・地下水保全コンサルティング、戸建住宅・不動産関連、太陽光発電施設の設計施工など)、グリーンエネルギー事業(欧州と国内での太陽光発電所開発・運営・売電事業)、ファイナンシャルサービス事業(日本アジア証券などの証券業)を展開している。震災復興・防災・減災・社会インフラ更新関連、メガソーラー関連、環境・エネルギー関連などテーマ性は多彩である。

 再生可能エネルギー関連事業に関して、14年10月には傘下のJAG国際エナジーが、東京都が創設する官民連携再生可能エネルギーファンドの運営事業者に選定された。また14年12月にはシーベルインターナショナルへの資本参加を発表した。シーベルの流水式(超低落差型)小水力発電装置スモールハイドロストリームを活用して、小水力発電事業を再生可能エネルギー関連事業の第2の柱に育成する方針だ。

 なお再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度については、経済産業省が14年12月に運用見直し案を発表し、太陽光発電の買い取り価格を15年度に20円台に引き下げる見通しとなっている。

 1月20日には、成長の加速と株主還元の早期化に向けて、グループ内の組織再編を15年3月1日に実施すると発表した。中間持株会社2社の子会社管理事業を当社に移管し、国際航業が国際航業ホールディングスを、日本アジア証券が日本アジアホールディングズを吸収合併することで中間持株会社状態を解消する。

 またJAG国際エナジーの子会社管理事業および投資管理事業を当社に移管する。国際ランド&ディベロップメントの不動産所有事業を当社に移管する。国際環境ソリューションズの土壌汚染関連サービスと国際航業の環境・防災・都市計画関連サービスを統合してソリューションメニューを拡充する。日本アジア証券にファイナンシャル部門の子会社を集約してファイナンシャルサービス事業を強化する。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(11月13日に増額修正)は売上高が前期比1.8%増の757億円、営業利益が同2.7%増の46億円、経常利益が同23.2%減の29億円、純利益が同3.7%増の26億円としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比1.8%増収、同5.6倍営業増益、同4.9倍経常増益、同84.8%最終減益だった。通期見通しに対する利益進捗率は低水準だが、空間情報コンサルティング事業およびグリーンプロパティ事業の売上が第4四半期(1月~3月)偏重の収益構造のため、現時点ではネガティブ要因とはならない。

 空間情報コンサルティング事業における収益性向上、グリーンプロパティ事業における太陽光発電関連の開発・運営受託の増加、グリーンエネルギー事業における国内メガソーラーの稼働増加が牽引して、通期ベースでも営業損益は改善基調だろう。

 なお13年12月に発行した第3回~第6回新株予約権に関して、その全部を取得して14年12月に消却した。収益が計画を上回る状況で推移して営業キャッシュフローが改善していることに加えて、株価が下限行使価格を下回る水準で推移して行使が進んでいないことを考慮した。

 株価の動きを見ると、第3回~第6回新株予約権の消却発表などを好感した14年11月の戻り高値735円から反落して水準を切り下げた。1月16日には551円まで調整した。ただし14年10月安値481円水準まで下押す動きは見られず、調整一巡感も強めている。

 1月28日の終値573円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS98円41銭で算出)は5~6倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS823円96銭で算出)は0.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、52週移動平均線近辺で下げ渋り、調整一巡感を強めている。営業損益改善基調を評価して切り返しのタイミングだろう。

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