【鈴木雅光の投信Now】NISA駆け込み需要は期待できる?

年末が徐々に近づいてきた。ということは、NISAの2014年枠も締め切りが近付いてきたということだ。

NISAの原型であるイギリスのISAは、毎年4月5日が締め切りであり、この時期が近付くと金融機関が一斉に利 用促進のためのキャンペーンを行う。結果、3月の後半から4月5日の締切日にかけて、一斉に駆け込み需要が発生する。日本でも12月の締切日にかけて駆け込み需要が高まるかどうか注目されており、NISA口座を扱っている金融機関は、駆け込み需要に期待しているフシがある。

何しろ、NISA口座の稼働率は、全体の3割程度でしかない。つまりNISA口座を開設したものの、まだ何も投資していない人が7割もいるということだ。

この7割が年末にかけてどう動くのか。いや、動くのかどうか。

一般的に個人は、マーケットの環境が悪い時は動かず、状況が過熱気味になったところで一斉に動き出す傾向がある。そこから考えれば、景気の先行きに対する不安感が高まっている現状では、駆け込み需要の高まりもそうそう期待は出来ないだろう。米国の株価は高値圏で非常にボラタイルな値動きを繰り返しており、その影響を受け、日本の株価もぱっとしない状況が続いている。アノマリーで言えば、10月はマーケットが不安定になり、11月から年明け4月くらいまでは堅調に推移するが、今のように先行きが見えない状況が続けば、NISA口座の駆け込み需要は、盛り上がらずに終わるだろう。

利用者の立場から言えば、確かに非課税枠を逃すのは勿体ない話ではある。が、ここで一番やってはいけないのは、非課税枠を使い切ろうとして、11月から12月の間にまとまった資金で投資することだ。特に12月はボーナスシーズンということもあるので、まとまった資金を投資に振り向けやすくなる。

しかし、そのような投資の仕方は、いささかリスクが高い。マーケットの環境が不安定ななか、まとまった資金で投資をすれば、大きく下落に転じた時の傷口も大きくなる。駆け込みだからといってまとまった資金を動かすのではなく、まずは少額でスタートさせるべきだろう。

ちなみに、2014年枠の最終締切日は、約定ベースで12月25日になる。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ガソリン・軽油の暫定税率廃止法成立  ガソリン暫定税率廃止法は11月28日に成立し、ガソリン税2…
  2. ■うつ・統合失調症・発達障害を脳から理解する、最前線研究を平易にまとめた一冊  翔泳社は11月25…
  3. 【新築マンションの短期売買を分析】  国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マン…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■「大きく産んで小さく育てる」IPO市場、期待裏切る後半戦  48勝2分10敗である。2025年の…
  2. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  3. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  4. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  5. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  6. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る