【アナリスト水田雅展の銘柄分析】スターティアは調整一巡感、中期成長力を評価して反発のタイミング

銘柄分析

電子書籍関連のスターティア<3393>(東1)の株価は、第3四半期累計(4月~12月)の営業減益も嫌気する形で2月2日に1452円まで下押す場面があった。ただしその後は1500円台に戻して調整一巡感を強めている。中期成長力を評価して反発のタイミングだろう。

電子ブック作成ソフト「ActiBook」やWebアプリケーションを開発・販売するウェブソリューション関連事業、ネットワークアウトソーシング環境やクラウドサービスを提供するネットワークソリューション関連事業、ビジネスホンやMFP(複合機)などOA機器を販売するビジネスソリューション関連事業を展開している。

電子ブック作成ソフト「ActiBook」は、一つのソフトでマルチデバイスへの書き出しが可能な「ワンオーサリングマルチデバイス」を実現し、拠点間で利用可能なSaaS型サービスを提供している。そして導入実績は14年12月末現在で2365社に達している。

大手との競合が少ない従業員300人未満の中堅・中小企業をターゲットとして、ITインフラのワンストップソリューションを提供するとともに、ストック型収益の向上を推進している。アジア市場へも本格的に事業展開する方針だ。なお14年3月期末の自己資本比率は75.0%である。無借金経営であり財務の健全性の高さも特徴だ。

業容拡大に向けてM&A・アライアンス戦略を積極推進している。14年8月には、ホスティングサービス運用や独自ハードウェア開発のエーティーワークスと資本業務提携(17年3月末までに株式25%取得予定)し、個人・法人向けPCトラブル訪問サービスの日本PCサービス<6025>と業務提携した。

9月には就職活動支援サイト運営のカケハシプロモーションと資本業務提携(議決権制限付きのため連結対象外)した。11月には回線敷設代行業務や一括請求サービスを展開する子会社クロスチェックを設立し、サービスの販路開拓に向けてリボルバーと資本業務提携した。12月にはシステムインテグレーションのネクストイットの技術本部の一部事業(常駐派遣事業など)および技術者21名を承継した。

また12月には一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)に加盟した。経済界との交流や対話など積極的な活動を通じて企業価値の向上を図り、一層責任のある立場として社会的責任を担っていくとしている。15年1月には子会社スターティアラボがアジアでの事業強化に向けて台湾支店を開設した。

1月30日発表の今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は売上高が前年同期比8.6%増の60億66百万円、営業利益が同18.8%減の2億95百万円、経常利益が同4.7%増の4億07百万円、純利益が同22.9%増の2億84百万円だった。

第3四半期(10月~12月)にフロー商材の販売が減速し、先行投資負担も影響して売上高と営業利益は計画を下回った。ただし持分法適用関連会社の好調や投資有価証券売却益が寄与して経常利益と純利益は計画を上回った。セグメント別売上状況はウェブソリューション関連事業が同4.5%増収、ネットワークソリューション関連事業が同11.8%増収、ビジネスソリューション関連事業が同8.7%増収だった。

通期の連結業績見通しは前回予想(5月9日公表)を据え置いて売上高が前期比13.2%増の92億48百万円、営業利益が同1.3%増の8億40百万円、経常利益が同1.2%増の8億66百万円、純利益が同0.2%増の4億33百万円としている。

配当予想(10月23日に修正)は年間12円83銭(第2四半期末5円、期末7円83銭)としている。前期の年間15円(期末一括)との比較では2円17銭減配の形だが、前期は記念配当6円45銭を含んでいるため、普通配当に関しては4円28銭増配となる。

利益面では新卒採用、ホスティングサービスでのセキュリティ強化、アジア地域への事業展開など、中期成長に向けた先行投資負担で微増益にとどまる見通しだが、売上面ではウェブソリューション関連事業、ネットワークソリューション関連事業、ビジネスソリューション関連事業とも好調に推移する見通しだ。

通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高65.6%、営業利益35.1%、経常利益47.0%、純利益65.6%と低水準だった。ただし営業利益の四半期別計画は、第1四半期(4月~6月)が新卒採用など先行投資負担で99百万円の赤字、第2四半期(7月~9月)が2億37百万円、第3四半期(10月~12月)が2億13百万円、第4四半期(1月~3月)が4億89百万円と下期偏重の計画だ。ストック型売上拡大、持分法投資利益、投資有価証券売却益も寄与して通期ベースで好業績が期待される。

14年8月発表の「新・中期3ヵ年利益計画」では、連結経常利益の目標値として15年3月期8億66百万円、16年3月期11億34百万円、17年3月期14億円を掲げている。初年度15年3月期は先行投資負担で小幅な伸びにとどまるが、2年目16年3月期以降は先行投資を平常に戻しつつ、成長路線を継続する。規模拡大や継続的成長に向けてM&A・アライアンス戦略も積極推進する方針だ。中期的に収益拡大基調だろう。

株価の動きを見ると、14年9月の戻り高値1940円から反落後は水準を切り下げて調整局面が続いている。第3四半期累計の営業減益も嫌気する形で2月2日には1452円まで下押す場面があった。ただしその後は1500円台に戻して調整一巡感を強めている。

2月18日の終値1538円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS85円51銭で算出)は18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円83銭で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS689円67銭で算出)は2.2倍近辺である。

週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面だが、2月2日の直近安値で下ヒゲを付けて調整一巡感を強めている。中期成長力を評価して反発のタイミングだろう。

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