【編集長の視点】神戸物産は連日の分割落ち後安値も温浴施設開業のインバウンド人気が底流し逆張りも一考余地

編集長の視点

神戸物産<3038>(東1)は、130円安の4035円と続急落し、連日の株式分割権利落ち安値更新となっている。同社が多角化事業として展開している太陽光発電事業で、固定価格買取価格が、3年連続で引き下げられると伝えられたことをキッカケに売り増勢となっている。ただ同社は、今年5月に世界最大級の温浴施設「ホットラグーン大分」をオープン予定であり、2016年に北海道でも世界最大級の観光果樹園を開業することから、インバウンド(外国人観光客)関連人気も底流し、合わせ「六次産業『真』の製販一体」を目標とする同社独自のビジネスモデルや、今10月期業績の続伸予想・実質連続増配も評価される展開も想定され、突っ込み場面は逆張りも一考余地がありそうだ。

■新発見の新地熱源泉を利用し世界最大の足湯も併設

「ホットラグーン大分」は、大分県九重町で発見した地熱の新源泉を利用して世界最大の長さ300メートルなどの足湯も併設し、今年5月に開業、九州北部の新観光拠点として地域の観光客誘致を牽引する。また北海道森町には、2016年3月の北海道新幹線開業に合わせて世界最大級の「函館観光果樹園」をオープンする。同社は、この観光事業や国内小売業界で日本一の19カ所の自社食品工場による第2次産業、「業務スーパー」の積極展開による第3次産業、さらに太陽光・地熱・バイオマス発電の再生エネルギー事業などにより製販一体化を進め、3年後の2017年10月期に売り上げ3000億円、経常利益150億円の達成を目指している。

足元の業績も好調で、今2015年10月期業績は、売り上げ2230億円(前期比4.2%増)、営業利益61億円(同17.8%増)、経常利益55億円(同14.4%減)、純利益26億5000万円(同1.9%増)と連続の過去最高売り上げ・営業利益を見込んでいる。円安進行による原材料価格の上昇をフランチャイズ店を含む新規店舗の増加、25店舗の純増などでカバーするもので、経常利益は、前期計上のデリバティブ評価益の一巡で減益転換するが、純利益は、法人税の平準化で増益転換する。なお配当は、前期の80円(前々期実績70円)に対して、今期は50円と予定しているが、今年1月31日を基準日に実施した株式分割(1対2)を勘案すると実質20円の増配とする。

■25日線から8%強のマイナスかい離と売られ過ぎを示唆

株価は、株式分割と自己株式取得・消却、好決算の発表の好材料が積み上がり株式分割の権利取りで上場来高値1万1360円まで49%高し、昨年2014年の東証第1部年間値上がり率ランキングのトップに躍り出た。権利落ち後は25日移動平均線を上値限界として下値固めを続けてきたが、この2日間で25日線から8.4%のマイナスかい離と売られ過ぎを鮮明化しており、底値買い余地を示唆している。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る