【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ティー・ワイ・オーは15年7月期好業績見通しを評価して出直り期待

銘柄分析

 TV-CM制作大手のティー・ワイ・オー<4358>(東1)の株価は、2月中旬に170円まで調整しましたが、その後は切り返しの動きを強めています。今期(15年7月期)好業績見通しを評価して出直り展開が期待されます。なお3月11日に第2四半期累計(8月~1月)の業績発表を予定しています。

 広告事業(広告代理店向けのTV-CM企画・制作およびポスト・プロダクション業務、広告主向けWEB広告およびプロモーションメディア広告の企画・制作、クロスメディア広告業務)、映像関連事業(アニメーションおよびミュージックビデオの企画・制作)を展開しています。

 今期(15年7月期)の連結業績見通し(9月11日公表)は、売上高が前期比7.3%増の285億円、営業利益が同8.0%増の18億50百万円、経常利益が同12.6%増の17億円、純利益が同50.9%増の9億円としています。広告事業の好調が牽引し、純利益は前期計上した特別損失の一巡も寄与します。

 配当予想については年間4円(期末一括)としています。前期比2円減配の形ですが、前期の年間6円には上場市場変更記念配当3円を含んでいるため、普通配当ベースでは1円増配となります。

 第1四半期(8月~10月)は検収時期の関係で前年同期比8.6%減収となりましたが、売上総利益率の改善で同20.4%営業増益、同45.6%経常増益、同62.3%最終増益となりました。高利益率案件の受注増加、厳格な売上原価管理の効果で売上総利益率が同1.9ポイント上昇しました。販管費での上場市場変更関連費用の一巡なども寄与しました。

 通期見通しに対する第1四半期の進捗率は、売上高が18.6%、営業利益が18.3%、経常利益が20.8%、純利益が23.0%とやや低水準の形ですが、第1四半期末の受注残高は同20.3%増の79億65百万円と高水準です。受注は電気・情報通信、衣料、自動車、飲料関連を中心に好調を持続しています。大型案件や大口広告主からの直接受注も増加基調で、映像関連事業では高利益率のライブ映像案件が拡大しているようです。

 売上原価管理の徹底も寄与して売上総利益率が上昇し、通期ベースでも好業績が期待されます。なお14年9月に連結子会社TYOアニメーションズに対する債権放棄を発表しましたが、過年度において全額引当済みのため今期業績に与える影響は軽微としています。

 中期経営計画では目標数値として17年7月期売上高400億円、営業利益27億円を掲げ、株主還元として配当性向25%以上目標と株主優待の継続実施の方針を示しています。

 広告市場は拡大基調であり、国内TV-CM制作業界では当社を含む大手制作3社による寡占化傾向を強めているようです。景気回復や20年東京夏季五輪開催も追い風となるため事業環境は中期的に良好でしょう。

 また14年8月にはアジア戦略部を新設して海外の新規展開を強化しています。来期(16年7月期)に予定していた戦略的M&Aを前倒しで実施する可能性もあり、中期的に収益拡大基調が期待されます。

 なお14年10月に株主優待制度の拡充を発表しています。15年7月期については、通常株主優待であるクオカード贈呈(毎年1月31日現在500株以上保有株主に対してクオカード1000円相当、2500株以上保有株主に対してクオカード3000円相当、5000株以上保有株主に対してクオカード5000円相当を贈呈)に加えて、当社オリジナル株主優待を継続します。

 オリジナル株主優待の内容(14年12月発表)は、15年1月31日現在500株以上保有株主を対象として、応募者の中から抽選で3名に、オリジナルミュージックビデオ「株主様!あなたがアーティスト」を制作して贈呈します。

 株価の動きを見ると、1月5日の戻り高値186円から反落して2月中旬には170円まで調整しましたが、その後は170円台後半に戻して切り返しの動きを強めています。短期的な調整が一巡したようです。

 2月26日の終値177円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS14円87銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間4円で算出)は2.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS77円18銭で算出)は2.3倍近辺です。

 週足チャートで見ると一旦割り込んだ26週移動平均線を回復し、13週移動平均線突破の動きを強めています。緩やかに下値を切り上げる形であり、今期好業績見通しを評価して出直り展開が期待されます。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る