【株式評論家の視点】リコーリースは通期計画達成へ、配当・優待取り狙いで下押す場面を待つ

株式評論家の視点

 リコーリース<8566>(東1)は、リコー製品の販売支援会社として1976年に設立され、それ以後リース・割賦事業と金融サービス事業を軸に総合的なフィナンシャルサービスを展開している。2017年4月からスタートした新3か年中期経営計画では、新たに“「リース」の先へ”をビジョンとして掲げ、既存事業の展開に加え、新たな提供価値を創造し、環境・社会・顧客の発展に役立つサービス・商品を提供し続ける企業へと成長することで、より一層の企業価値向上を目指している。

 中期経営計画では、2020年3月期営業利益183億円、ROA1.30%、営業資産残高9000億円の財務目標の達成を目指し、環境分野の取り組み「創エネ・省エネを軸とした新たな環境分野への挑戦」、日本総合住生活株式会社との業務提携による「社会の変化に対する課題を解決するための金融サービスの開発と提供」、「SDGs(持続可能な開発目標)やパリ協定の採択により、持続可能な社会の実現が一層強く求めれる中、重要課題を見直し」を推し進めている。

 1月25日に発表した今2018年3月期第3四半期業績実績は、売上高2270億9700万円(前年同期比4.9%増)、営業利益126億5800万円(同2.6%減)、経常利益125億6500万円(同2.9%減)、純利益86億8100万円(同2.8%減)に着地。総取扱高は2827億円(同5.9%増)と増加、営業資産残高は8114億円(前期末から274億円増)と増加。中期計画で定めた組織能力強化戦略に向けたシステム費用を含む戦略経費などが増加したことから、微減益となった。

 今18年3月期業績予想は、売上高2973億円(前期比2.1%増)、営業利益168億円(同3.1%減)、経常利益165億円(同4.0%減)、純利益113億円(同4.0%減)を見込む。年間配当予想は、70円(第2四半期末35円、期末35円)で10円増配を予定。また、株主優待として3月末に100株以上保有している株主を対象に保有期間による区分によってクオ・カードの贈呈を予定している。

 株価は、昨年10月12日につけた昨年来の高値4420円から同11月28日安値3725円まで調整。3800円割れで下値を固め1月23日高値4165円と上昇。その後、調整している。事務用機器・情報関連機器、太陽光発電設備を中心とする環境関連機器、商業及びサービス業用機器などの取扱いが伸長し、今3月期第3四半期純利益は、年計画に対する進捗率が76.8%と順調に推移しており、通期業績予想は達成出来る見通し。戻り一巡感が出ているが、今期予想PER11倍台・PBR0.77倍と割安感がある。下値支持線となる52週移動平均線前後まで下押す場面があれば、期末配当・株主優待取り狙いで買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)

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