【株式評論家の視点】オンコリスバイオファーマは米バイオベンチャーと資本提携と株式譲受、ビジネスチャンスは拡がる見通し

株式評論家の視点

 オンコリスバイオファーマ<4588>(東マ)が、ウイルス学に立脚した技術を駆使して、がんや重症感染症の治療法にイノベーションを起こし、世界の医療に貢献することを使命としている。がんや重症感染症領域に留まらず、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)領域にも拡大し、難病治療に寄与することを目指している。

 がん・重症感染症領域で、「テロメライシンR」・「OBP‐601(Censavudine)」という医薬品候補を持ち、それぞれ「第3のがん局所療法」、「新しい抗HIVカクテル療法の形成」をコンセプトとして、倫理的且つ科学的な医薬品開発基準に則ったヒトへの投与を行い、開発を進めている。また、市場規模の大きな疾患を対象としているため、開発の最終段階まで自社で行うのではなく、開発途上の段階で開発・販売権を大手製薬会社へ付与し、大手製薬会社が持つ開発資源や販売網を活かすことが、医療にイノベーションをもたらす最短経路と考えている。

 2月16日に同社は、新規腫瘍溶解アデノウイルス開発に特化した、米バイオベンチャーのアンリーシュ社(ミズーリ州)と資本提携及び株式譲受契約を締結すると発表した。アンリーシュ社は、アデノウイルス研究の専門家であるワシントン大学デイビット・キュリエル教授が設立した新規腫瘍溶解アデノウイルスの開発に特化した企業で、今回の提携に伴い、同じくキュリエル教授が設立し、アンリーシュ社が発行済み株数の8.4%を保有する米バイオベンチャーのプレシジョン社の株式を譲り受ける。遺伝子改変アデノウイルスのパイプラインを擁し世界トップクラスの技術を有する2社との関係強化によって、国内外で研究開発を推進しているテロメライシンR (OBP‐301)をはじめとする「遺伝子改変アデノウイルスを用いたがんのウイルス療法」のプラットフォームを拡大し、「がんと重症感染症」パイプラインを推し進めることで、将来的なビジネスチャンスは拡がる見通し。

 2月9日に発表した今2018年12月期業績実績は、売上高2億2900万円(前の期比28.5%増)、営業損益10億7800万円の赤字(同8億6100万の赤字)、経常損益10億8700万円の赤字(同8億6400万の赤字)、最終損益10億9000万円の赤字(同9億3100万の赤字)に着地。

 今18年12月期業績予想は、売上高2億3000万円(前期比0.4%増)、営業損益14億円の赤字(同10億7800万円の赤字)、経常損益14億円の赤字(同10億8700万円の赤字)、最終損益14億円の赤字(同10億9000万円の赤字)を見込む。年間配当予想は、無配継続を予定としている。

 株価は、昨年9月6日につけた昨年来の安値602円から本年1月26日に昨年来の高値1222円まで買われた後、2月14日安値741円まで調整を挟んで19日高値867円と買い直されている。遺伝子改変アデノウイルスのパイプラインを擁し世界トップクラスの技術を有する米2社との関係強化によって、将来的なビジネスチャンスは拡がる見通しで、中長期的な視点で押し目買い妙味は膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川) 

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