【編集長の視点】コンヴァノはIPO市場の端境期に初決算を先取りして直近IPO株人気を再燃させ急反発

 コンヴァノ<6574>(東マ)は、前日10日に124円高の1794円と急反発して引け、今年5月1日につけた上場来安値1321円からの底上げを鮮明化した。同社株は、今年4月11日に新規株式公開(IPO)されたばかりで、5月15日にIPO後の初決算となる2018年3月期業績の発表を予定しており、独自のビジネスモデルをベースにした成長可能性を見直し、業績の上ぶれ着地や次期業績の続伸を期待して直近IPO株買いが再燃した。IPO市場そのものが、大型連休直前から5月31日までIPOが一時休止となり、約1カ月間の端境期に入っていることも、好需給要因としてフォローの材料視されている。

■ネイリストの分業制構築や独自予約システムで高効率オペレーションを実現

 同社は、ネイルサロン「FAST NAIL(ファストネイル)」を今年3月末で全国に47店舗展開し、ネイルサロン業界の慣例とは異なる独自のビジネスモデルを構築して高収益性、業績高成長を実現している。その独自ビジネスモデルの第1は、サロンで施術するネイリストの指名制を採用せず分業制を採用していることで、施術の所要時間を業界他社店舗より30分以上も短縮し、ネイリスト1人当たりの月商は、2017年3月期の72万1000円が、2018年3月期第3四半期(2017年4月~12月期、3Q)には78万8000円へ右肩上がりに伸びるなど高効率のオペレーションを実現している。

 第2は、自社のWEB予約サイトとスマホ用アプリによるオリジナル予約システム「FASTNAIL TOWN」を開発・運用していることで、外部メディに依存せずに高い顧客獲得力を誇り、これがリピーター客の増加とともに、広告宣伝費の削減につながり、高収益性の要因となっている。また店舗ネットワークも、同社は商業施設型とテナントビル型の店舗展開を進めているが、大型商業施設からの出店オファーが増加していることから、商業施設型の新規出店を一層加速させ、今期末の47店舗から次期2019年3月期に52店舗、2030年3月期に57店舗に拡大させる計画である。

 こうした独自のビジネスモデルから、目下集計中の前2018年3月期業績は、売り上げ20億円(前期比11.9%増)、営業利益1億4000万円(同29.5%増)、税引前利益1億3400万円(同32.7%増)、純利益8400万円(同32.7%増)と2ケタの続伸が予想されている。IPOと同時に開示した2018年3月期第3四半期(2017年4月~12月期)業績は、通期予想業績に対して90%超の高利益進捗率を示しており、第4四半期(2018年1月~3月期)については、保守的に見積もっていることもあり、上ぶれ着地観測を強めている。続く次期2019年3月期業績は、5月15日の決算発表時の業績ガイダンスを待つ必要があるが、続伸期待も強く動向が注目を集めよう。

■最高値から最安値への調整幅の3分の1戻しをクリアしまず初値奪回が加速

 株価は、公開価格930円に対して2.35倍の2189円で初値をつけ即日、上場来高値2589円まで買い進まれる高人気となった。その後、連休前のIPOラッシュもあって乗り換えの動きもあり連休の谷間に上場来安値1321円まで調整したが、IPOが端境期になることも意識されて底上げに転じ、最高値から最安値までの調整幅の3分の1戻しをクリアした。IPO時の高人気再現期待を強め、まず半値戻しを超える初値奪回が加速しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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