【アナリスト水田雅展の銘柄分析】立花エレテックは2月高値に接近、15年3月期再増額の可能性や割安感を評価して上値追い

銘柄分析

 電機・電子技術商社の立花エレテック<8159>(東1)の株価は、2月24日の高値1849円から利益確定売りで1700円近辺まで一旦反落したが、素早く切り返して高値圏で堅調に推移している。3月16日には1820円まで上伸して2月高値に接近した。今期(15年3月期)業績に再増額の可能性があり、低PERや低PBRも評価して上値追いの展開だろう。

 FAシステム事業、半導体デバイス事業を主力として、施設事業、産業デバイスコンポーネント事業、その他事業(ソリューション事業とMS事業)を展開している。MS(マニュファクチャリング・サービス)事業は金属加工の製造受託(MMS)と電子機器の製造受託(EMS)を統合した事業である。

 積極的なM&A戦略を推進し、10年にFA機器専門商社の大電社を完全子会社化、12年に関東圏を地盤とするFA機器専門商社の高木商会と資本・業務提携して持分法適用会社化(14年12月に株式を追加取得して連結子会社化)した。13年2月には、ルネサスエレクトロニクス<6723>の販売子会社からコンポーネント事業と半導体製品再販事業の移管を受けて、子会社の立花デバイスコンポーネントを設立した。海外は中国などアジア地域に子会社8社で合計14営業拠点を展開している。

 技術商社の強みを活かして海外ビジネスの拡大、グループシナジーの追求、事業領域の拡大、営業力強化と体質改善などを推進している。中期成長に向けた重点戦略としては、FAシステム事業ではロボット関連の強化、半導体デバイス事業では品揃えの強化、施設事業では年間売上高150億円への挑戦、産業デバイスコンポーネント事業では事業再構築などを掲げている。なお16年3月期スタートの中期経営計画を15年3月期中に策定するようだ。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(高木商会の連結子会社化に伴って12月12日に増額修正)は、売上高が前期比5.7%増の1500億円、営業利益が同12.2%増の49億円、経常利益が同4.1%減の54億円、純利益が同38.3%増の53億円、配当予想(5月12日公表)が年間22円(第2四半期末11円、期末11円)としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比0.9%増収、同11.5%営業増益、同1.4%経常増益、同59.5%最終増益だった。プログラマブルコントローラなどのFAシステム事業、自動車関連のロジックICなどの半導体デバイス事業が好調に推移して全体を牽引した。純利益は子会社化関連損益(高木商会の株式追加取得に伴う負ののれん発生益から段階取得に係る差損を差し引いた額)の計上も寄与した。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)320億75百万円、第2四半期(7月~9月)350億81百万円、第3四半期(10月~12月)337億09百万円、営業利益は第1四半期9億60百万円、第2四半期12億75百万円、第3四半期9億72百万円である。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が67.2%、営業利益が65.4%、経常利益が74.2%、純利益が82.9%である。やや低水準の形だが、FAシステム事業のプログラマブルコントローラなど好採算分野の受注が好調であることや、設備投資関連は第4四半期(1月~3月)の構成比が高くなる収益構造を考慮すれば高水準であり、通期再増額の可能性があるだろう。

 なお14年12月12日に株式分割を発表している。15年3月31日を基準日(効力発生日15年4月1日)として1株を1.2株に分割する。

 株価の動きを見ると、2月24日に付けた高値1849円から、利益確定売りで1700円近辺まで一旦反落したが、素早く切り返して高値圏で堅調に推移している。3月16日には1820円まで上伸して2月高値に接近した。今期好業績見通しや株式分割を好感する流れに変化はないだろう。

 3月17日の終値1811円を指標面(1株あたり数値は15年4月1日付の株式分割前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS244円42銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間22円で算出)は1.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2130円80銭で算出)は0.8倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。今期業績見通しに再増額の可能性があり、低PERや低PBRも評価して上値追いの展開だろう。

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