【水田雅展の株式・為替相場展望】波乱含み、総強気の状況に注意必要

銘柄分析

 3月23日~27日の株式・為替相場は、重要イベントを通過してやや材料難となり、米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ開始時期を巡る思惑も交錯して波乱含みだ。株式市場では主力大型株がどこまで上値を追うかが注目点だが、いわゆる「総強気」の様相を呈してきた状況だけに注意も必要だろう。

 日経平均株価は前週(3月16日~20日)まで6週連続上昇となり、終値で1万9500円台に乗せてきた。また週足チャートで見ると9週連続の陽線だ。日本企業の株主重視姿勢への転換や15年春闘での高額ベア回答が評価され、需給面では日銀によるETF買いや年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による日本株買いが安心感に繋がり、米国株離れや為替離れの動きも強めた。

 そして前週末20日の米国株が大幅上昇したことを受けて、週初23日の日本株も堅調なスタートとなりそうだ。週末27日は実質新年度入りとなるため新たな資金流入に対する期待感も高まる。目先的な過熱感を指摘する見方があるものの、大勢として為替はドル高・円安方向、日経平均株価は2万円を目指す流れに変化はないだろう。

■日経平均予想レンジ引き上げが目立ち要警戒も

 ただし日本株の強い動きを見て、日経平均株価の予想レンジ上限を引き上げる動きも目立ってきた。ポジショントークも含めて、いわゆる「総強気コメント」の様相を呈してきた状況だけに、一旦は「天井近し」を意識するべきかもしれない。日経平均株価2万円が通過点となるためにも、1万9000円台を固めながらエネルギーを蓄積する展開が望ましい。

 為替に関しては、18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)声明後、早期利上げ観測が後退したとしてドルが売られる場面が目立つなど、やや不安定な動きだ。ポジション調整でユーロを買い戻す動きも指摘されている。米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ開始時期を巡る思惑が交錯して、当面は方向感に欠ける展開となりそうだ。

 日本株の物色面では、週末27日の実質新年度入りを控えて主力大型株が上値を追うのか、それとも相次ぐIPOも刺激材料となり、出遅れ感の強いマザーズ市場のテーマ関連株や中小型株に資金がシフトするのかが注目点だ。テーマ物色では個人消費関連、ゲーム関連などが注目されそうだ。

 その他の注目スケジュールとしては、23日の米2月シカゴ連銀全米活動指数、米2月中古住宅販売件数、24日の中国3月HSBC製造業PMI、ユーロ圏3月製造業PMI、米1月FHFA住宅価格指数、米2月新築住宅販売、米2月消費者物価指数、25日の日本2月企業向けサービス価格指数、独2月IFO景況感指数、米2月耐久財受注、27日の日本2月失業率・有効求人倍率、日本2月全国・3月東京都区部消費者物価指数、米10~12月期GDP確定値、イエレン米FRB議長の講演などがあるだろう。(アナリスト)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る