【注目の決算】メディカル・データ・ビジョンの第2四半期は「カーダボックス」などに先行投資の成果が現わる

■各利益は小幅赤字だが売上高は10%増加し受注見込み数は大幅に増加

 メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)が13日に発表した2018年12月期・第2四半期の連結決算(18年1~6月累計)は、大規模診療データベースが6月末現在で実患者数にして2377万人(国民5人にひとりの割合)へと順調に拡大を続け、これが成長ドライバーとなって新薬研究開発向けなどに向けた大規模診療データ利活用サービスが拡大したほか、病院向け経営支援システム「Medical Code」など、医療機関向けのパッケージ販売を主とするデータネットワークサービスも拡大し、売上高は期初計画を2億円強上回る14.72億円(前年同期比10.4%の増加)となった。

 今期は、連結子会社で7月にSMO(治験)事業を本格開始し、これに向けてCRC(治験コーディネーター)をはじめとする人材の採用を前倒し的に実施している。また、営業関連の人材についても、独自開発の医療支援システム「CADA-BOX(カーダボックス)」の展開加速に向けて積極拡大している。このため、販売費及び一般管理費が本社増床なども含めて前年同期比25.3%増加。連結経常利益は0.4億円の赤字となり、純利益は0.87億円の赤字だった。

◆「カーダボックス」の受注見込み数は第1四半期末の27件に対し67件へと大幅に増加

 ただ、こうした積極投資により、「カーダボックス」の病院への導入動向は、受注見込み数が第1四半期末の27件に対し67件へと大幅に増加し、既稼働数は第1四半期末の3件から5件に増加した。

 「カーダボックス」は、患者自身が診療情報の一部を保管・閲覧できるWEBサービス「カルテコ」と、患者が自由に支払い条件を設定できる医療費後払いサービス「CADA決済」を電子カルテと連携させて活用する画期的な新サービス。患者にとっては、たとえば、老親が自分では治療状況をうまく説明できないケースなどで、家族も知ることができるなどのメリットがある。セカンドオピニオンの際の手助けにもなる。

 足元は、こうした新事業や新サービスの立ち上がりの真っ最中のため、今期・18年12月期の業績への貢献は大きくないが、来期以降の大きな成長ドライバーのひとつとして期待できる。大規模診療データベースは、7月末現在で実患者数にして2398万人に増加した。

 こうした推移に加え、既存事業が下期偏在型であるところから、今期12月期の連結業績見通しは従来予想を継続し、売上高は前期比45.7%増の47.0億円、経常利益は同41.6%増の8.0億円、純利益は同38.7%増の4.91億円、1株利益は同12円29銭とした。(HC)

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