【鈴木雅光の投信Now】純資産総額の大きなファンドを見ていくと

純資産総額とは、投資信託に組み入れられている株式や債券など、組入資産の時価を合計したものです。したがって、組入資産が値上がりしたり、あるいは新規の資金が入ってくると、純資産総額は増加します。したがって、純資産総額はある意味、その投資信託に対する人気のバロメーターとも言えます。

かつて、純資産総額トップといえば、国際投信投資顧問の「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」でした。が、相次ぐ解約による資金流出に見舞われ、大幅にランキングが後退しました。投信評価会社のモーニングスター社のサイトによると、3月23日時点の同ファンドの純資産総額ランキングは11位です。

では、逆にランキング上位にはどういう投資信託が入っているのでしょうか。

まず上位10ファンドで見ると、日経225平均株価やTOPIXに連動する国内株式インデックス型が、6本もランクインしています。その他は、海外REITに投資するタイプが2本で、高配当株に投資するタイプ、米国ハイ・イールド債に投資するタイプが、それぞれ1本ずつとなっています。ランキングを見る限り、インデックスファンドが高い人気を集めているのが分かります。

現在の国内株式市場は、株価を押し上げる目的で、GPIFや共済、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、日銀がインデックス買いを行っています。そういう局面だからこそ、インデックスファンドを購入し、目先の上昇トレンドに乗るという戦略は、ありだと思います。

ただ長期的に見た場合、日本株のインデックス投資が有効かどうかについては、冷静に考える必要がありそうです。インデックス投資はある意味、その国の経済成長にベットするものですから、将来、人口が減少傾向をたどり、経済成長が期待しにくい国の場合、市場全体に投資するインデックス運用は不向きであるとも言えます。

もし、インデックスファンドを中心に投資信託を選ぶなら、日本株のインデックスファンドではなく、世界各国に投資するグローバル型のインデックスファンドを選ぶべきでしょう。東証に上場されているETFでも、世界中の先進国、新興国に投資するタイプがあります。この手のファンドなら、長期的に日本経済の成長率が低下したとしても、その影響を最小限に抑えて、資産価値の増大が図れるはずです。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AI機能強化でさらに便利に!Siriの進化とChatGPT統合で作業効率向上  Appleは3月…
  2. ■ChatGPT Enterpriseを活用し、業務効率化と新たな価値創造を推進  ふくおかフィナ…
  3. ■2024年度の美容室倒産件数、前年を大幅に上回る197件  帝国データバンクの調査によると、20…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■スタンレー電気など年初来安値銘柄の業績見通しに焦点  日経平均株価が4月に大幅下落する中、年初来…
  2. ■トランプ劇場、急転換の舞台裏!米中摩擦、FRB人事…予測不能な変幻自在  「クルマは急に止まれな…
  3. ■5大商社決算発表を前に高まる投資家の期待感  世界三大投資家の一人ウォーレン・バフェットが日本の…
  4. ■「市場の反乱」の一段落で「市場の勝利」を期待しバフェット流に商社株にバリュー株投資も一考余地  …
  5. ■株価55%高もまだ割安!?記念優待利回り10%超の注目株  10日には米国の関税発動停止を受け、…
  6. ■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠  まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る