【編集長の視点】クレスコは年初来安値水準から急続伸、連続最高業績と普通配当の連続増配を手掛かりに下げ過ぎ修正

 クレスコ<4674>(東1)は、前日23日に75円高の2699円と急続伸して引け、8月13日につけた年初来安値2530円に並ぶ安値水準から出直る動きを強めた。同社株は、8月7日の今2019年3月期第1四半期(2018年4月~6月期、1Q)決算の発表時に、今3月期通期業績を期初予想の据え置きとしたことと、トルコショックで日経平均株価が大幅に続落しフシ目の2万2000円を下回ったことが響いて、年初来安値へ急落した。ただその3月期通期業績は、連続の過去最高と予想され、今期配当についても普通配当の連続増配を予定していることを見直し、下げ過ぎ修正買いが増勢となった。「働き方改革」、「AI(人工知能)」、「IoT(モノのインターネット化)」、「ロボティクス」などに幅広く関連するテーマ株人気の再燃期待も高めている。

■第2四半期以降は人材、旅行、物流、カーエレ、情報家電向けが高成長

 同社の今3月期1Q業績は、前年同期比5.9%増収、21.0%営業減益、0.8%経常増益、16.5%純益減益と増減マチマチで着地した。企業のIT投資が依然として旺盛に推移する好事業環境下、一部のソフトウェア開発案件で不採算プロジェクトが発生し、開発人員の不足、販管費の増加などで営業利益、純利益は減益転換し、経常利益は、外国株の投資証券評価益の寄与で続伸したが、メガバンクの大型案件一巡で金融向けのソフトウェア開発のマイナスを組込み型ソフトウェア開発でインフォテインメント系、表示系を中心にカーエレクトロニクス向けが好調に推移し、テレビ、カメラなどのデジタル情報家電向けが続伸したことなどでカバーした。

 今3月期通期業績は、期初予想に変更はなく、売り上げ355億円(前期比6.5%増)、営業利益32億8000万円(同6.1%増)、経常利益35億8000万円(同2.5%増)、純利益24億1600万円(同9.7%増)と見込み、純利益は、連続して過去最高を更新する。第2四半期以降では、人材、旅行、物流、カーエレクトロニクス、情報家電の各分野での成長を見込んでいる。配当については、前期に普通配当62円に創立30周年の記念配当10円を上乗せして年間72円(前々期実績55円)と大幅増配し、今期は、記念配当は一巡して年間64円を予定しているが、普通配当としては連続増配となる。

■PERは12倍台、配当利回りは2.37%と売られ過ぎ歴然で25日線奪回に直行

 株価は、3月の配当権利落ち安値3270円から「働き方改革」のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)関連の新規株式公開株が高人気で寄り付いたことで関連株人気を高めて3595円へ底上げし、今2019年3月期業績の期待で3840円まで上値を伸ばしたが、米中貿易戦争激化に伴う世界同時株安に巻き込まれて3100円まで調整、RPAプラットフォームで高導入実績のUiPath社とのパートナー契約締結や電子情報通信学会での角膜形状画像解析技術の学会報告などで3300円台までリバウンドする場面もあったが、足元ではトルコショックの波及で年初来安値2530円へ再調整した。PERは12倍台、配当利回りは2.37%、25日移動平均線からは9%超のマイナスかい離と売られ過ぎは歴然で、まず25日線水準の2900円台奪回に直行し一段の上値チャレンジを強めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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