【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フライトHDは15年3月期の赤字見通しを織り込んで底打ち

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 システム開発や電子決済ソリューションのフライトHD<3753>(東マ)の株価は下値を切り上げる動きだ。15年3月期赤字見通しの織り込みが完了し、2月13日の安値で底打ちしたようだ。16年3月期の収益改善期待で出直りのタイミングだろう。

 フライトシステムコンサルティング(旧)が13年10月、持株会社に移行してフライトホールディングスに商号変更した。事業承継した子会社フライトシステムコンサルティング(新)が、システム開発などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、および電子決済ソリューションなどのサービス事業を展開している。

 電子決済ソリューションの分野では、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「インクレディスト」およびスマートデバイス決済専用アプリケーション「ペイメント・マスター」の展開を強化している。決済専用アプリ「ペイメント・マスター」は10年9月に提供開始した国内初のBtoB向け決済ソリューションである。

 14年9月にはフォウカスとスマートデバイスを用いたモバイルPOS決済システムで協業した。14年10月にはECサイト構築パッケージソフト「イーシー・ライダー」を展開するDRAGON TECHNOLOGY(11月イーシー・ライダーに商号変更)を子会社化してECソリューション事業も強化している。また12月には海外での「ペイメント・マスター」および「インクレディスト」の拡販に向けて米国子会社フライトUSAを設立した。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(2月12日に減額修正)については売上高が前期比16.3%減の16億円、営業利益が85百万円の赤字(前期は1億79百万円の黒字)、経常利益が95百万円の赤字(同1億65百万円の黒字)、そして純利益が98百万円の赤字(同1億52百万円の黒字)としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は、サービス事業で前期計上した大型案件が一巡して前年同期比43.6%減収となり、各利益は赤字となった。なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)3億59百万円、第2四半期(7月~9月)3億円、第3四半期(10月~12月)2億38百万円、営業利益は第1四半期7百万円の赤字、第2四半期58百万円の赤字、第3四半期77百万円の赤字である。

 通期ベースでは、マルチ電子決済端末「インクレディスト」と決済専用アプリ「ペイメント・マスター」を利用する新規大口顧客向け案件が顧客側の都合で来期(16年3月期)にズレ込むようだ。またWindowsタブレット向け「ペイメント・マスター」に連携する他社製POSアプリケーションの準備が遅れ、IC対応クレジットカード決済(EMV決済)の開発や電子マネーの対応範囲拡大も遅れているようだ。

 今後の取り組みとして、C&S事業でマイナンバー(社会保障・税番号)制度関連のシステム開発、サービス事業でマルチ電子決済端末「インクレディスト」および決済専用アプリ「ペイメント・マスター」のテスト稼働中顧客の全国展開、IC対応クレジットカード決済(EMV決済)の新規大口顧客案件対応、HP社「リテールケース」とマルチ電子決済端末「インクレディスト」を核にしたHP社との営業展開、決済専用アプリ「ペイメント・マスター」の他社供給、ECソリューション事業でのECサイト構築パッケージ「EC-Rider B2B」の拡販を推進するとしている。

 今期(15年3月期)は赤字見通しだが、来期(16年3月期)は大型案件も寄与して収益改善が期待されるだろう。

 株価の動きを見ると、2月13日の安値491円から3月16日の697円まで切り返した。その後一旦反落したが下値を切り上げる動きだ。15年3月期赤字見通しの織り込みが完了し、2月13日の安値で底打ちしたようだ。

 3月26日の終値は586円で、前期実績PBR(前期実績連結BPS59円06銭で算出)は10倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線が抵抗線の形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げる動きだ。15年3月期赤字見通しの織り込みが完了し、16年3月期の収益改善期待で出直りのタイミングだろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る