加賀電子は14期ぶり最高純利益、連続増配、積極的な中期計画を買い直して反発

株式市場 銘柄

 加賀電子<8154>(東1)は、前日19日に7円高の2239円と7営業日ぶりに反発して引けた。同社株は、今年11月6日の今2019年3月期第2四半期(2018年4月~9月期、2Q)累計決算の発表に合わせて、今期通期予想業績を初開示し、連続増配、積極的な中期経営計画も公表したが、米国の中間選挙を巡る世界的な株価乱気流に巻き込まれ、下値を探る株価推移が続いた。この安値水準では、PERが8倍台、配当利回りは3.34%と東証第1部全銘柄平均より割り負けていることから売られ過ぎ修正買いが再燃した。

■富士通エレクトロニクスは4Qから連結され2022年3月期売上高は5000億円と7割増

 同社は、期初の今年5月に事業環境の変化が激しく不確定要素が大きいとして、今2019年3月期の業績予想を非記載とした。今回開示した今期通期業績は、売り上げ2900億円(前期比22.9%増)、営業利益77億円(同5.2%減)、経常利益80億円(同8.5%減)、純利益73億円(同1.5%増)と見込み、純利益は、14期ぶりに過去最高を更新する。電子部品事業は、EMS(生産受託)ビジネスで主要顧客の生産切り替えに伴う生産調整、立ち上げ期の海外工場での先行費用などがあるが、車載・空調向けが順調に推移し、情報機器事業でも、住宅向け家電販売ビジネスや商業施設向けLED設置ビジネスが順調で、第4四半期(2019年1月~3月期、4Q)からは、今年9月に約205億円で株式を取得して子会社化すると発表した富士通エレクトロニクスの業績が連結される。純利益は、この子会社化に伴う負ののれん代も織り込み過去最高を更新する。

 年間配当は、普通配当を70円(前期実績60円)に増配し創立50周年の記念配当5円(前期は10円の特別配当を実施)を上乗せ75円(前期実績70円)へ連続増配する。一方、同時発表した2020年月3月期からスタートする次期中期経営計画は、富士通エレクトロスを子会社化し5000億円級の企業グループとなったことから非連続的な事業拡大にチャレンジする。成長分野の車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケアに注力し、EMSビジネスの海外拡大を図り、積極的なM&Aで新事業領域を開拓するなど収益基盤を強化するとともに、グループ横断的なコスト削減施策などに取り組んで経営基盤も強化、最終年度の2022年3月期には売り上げ5000億円、営業利益130億円を目指す。売り上げは、今期通期予想業績に対して72%増、営業利益は、同じく68%増と高成長することになる。

■PER8倍台、配当利回り3.34%の売られ過ぎ修正で年初来高値水準の3000円大台を目指す

 株価は、今夏から繰り返された全般相場の急落の影響を何度も受け、今年8月に年初来安値1967円へ突っ込み、8月、9月と相次いだM&Aを材料に2660円の戻り高値までリバウンド、足元では、今期予想業績の開示、連続増配、新中期経営計画の発表があったものの、またまた全般相場の先行きが不透明化するなか2200円台下位まで下値を探った。PERは8倍台、配当利回りは3.34%と売られ過ぎは歴然であり、戻り高値奪回から年初来高値水準の3000円大台回復に弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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