【編集長の視点】昭栄薬品は続落も実質3期連続増配を手掛かりに分割権利落ち後安値水準から底上げ余地

株式市場 銘柄

 昭栄薬品<3537>(JQS)は、前日3日に30円安の1100円と3営業日続落して引けた。同社株は、今年11月30日を基準日に株式分割(1株を3株に分割)を実施し27日に分割権利を落としており、30日に権利落ち安値1098円をつけており、同安値水準での底もみを続けた。ただこの安値は、権利落ちの理論価格を下回っており、今2019年3月期の配当が、株式分割を勘案して実質で3期連続の増配となることなどを手掛かりに売られ過ぎ訂正買いも交錯した。テクニカル的にも、25日移動平均線を出没する三角保ち合いに煮詰まり感を強めており、上放れ期待を高めている。

■IPOの2017年3月期以来の増配が続き売り上げも新規取引先開拓などで続伸

 同社は、今年11月9日に今3月期第2四半期(2018年4月~9月期、2Q)累計決算とともに株式分割と配当修正を発表した。この配当修正は、株式分割に伴って期初予想の年間53円から18円へ変更したが、分割を考慮しないと年間54円となる。これにより同社の配当は、前2018年3月期配当が、今年4月の前期業績の上方修正で期初予想の43円が53円(前々期実績45円)に増配されており、新規株式公開(IPO)された2017年3月期配当が、上場記念配当5円を上乗せして45円に増配されたことから数えると3期連続の増配となり、同社の積極的な株主還元政策を裏付けている。

 一方、株式分割・増配とともに発表された今期2Q累計業績は、売り上げ103億2800万円(前年同期比4.9%増)、営業利益1億4900万円(同14.2%減)、経常利益2億3500万円(同3.1%減)、純利益1億5800万円(同6.6%減)で着地した。化学品事業では、香粧品分野の新規取引先の開拓、日用品事業では、新アイテムの提案、インターネット販売の開始、土木建設資材事業では、環境改善工事向け薬剤の好調な受注などが寄与して売り上げは続伸したが、利益は、人件費の負担増などで販売管理費が増加し、一部原材料の価格変動の影響を受けて利益率が低下したことなどから減益転換した。

 今3月期通期業績は、期初予想に変更はなく売り上げ207億円(前期比2.5%増)、営業利益3億1600万円(同5.3%減)、経常利益4億3600万円(同3.3%減)、純利益2億9900万円(同4.8%減)と小幅減益転換を見込んでいる。

■25日線を出没する三角保ち合いを上放れまず年初来高値奪回の3割高を目指す

 株価は、社員持株会向けの自己株式立会外分売などをキッカケに年初来高値3900円まで買い進まれ、世界同時株安の波及で年初来安値2880円へ突っ込んだが、株式分割と実質連続増配で権利取りの買い物が入って3500円へリバウンド、3450円で分割権利を落とした。分割権利落ち後安値1098円は理論価格を50円強下回り、PERも13倍台、PBRも0.5倍と下げ過ぎを示唆している。テクニカル的にも25日線を出没する三角保ち合いからの上放れ気配を強めており、まず年初来高値の分割勘案高値1300円を目指す3割高に進もう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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