LIFULLは調整一巡して戻り試す、19年9月期増収増益予想(Mitula買収完了後に修正予定)

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 LIFULL<2120>(東1)は、不動産・住宅情報総合サイト「LIFULL HOME‘S」運営の不動産情報サービス事業を主力として、生活関連領域や海外への展開を加速している。Mitula買収が確定して中期成長が期待される。なお19年9月期は増収増益予想で、Mitula買収完了後に修正予定としている。株価は調整一巡して戻りを試す展開が期待される。

■不動産情報サービスを主力に生活関連領域や海外への事業展開を加速

 日本最大級の掲載件数を誇る不動産・住宅情報総合サイト「LIFULL HOME‘S」運営のHOME‘S関連事業、14年買収したスペインTrovitが展開する世界最大級アグリケーションサイト「Trovit」運営の海外事業、その他事業(LIFULL seniorやLIFULL FinTechなど)を展開している。

 不動産情報サービスを主力に、生活関連領域や海外への事業展開を加速している。なお収益面では、不動産情報サービス事業を主力としているため、1~3月が繁忙期となる季節要因がある。

■世界一のライフデータベース&ソリューション・カンパニーを目指す

 スローガンに「世界一のライフデータベース&ソリューション・カンパニー」を掲げ、LIFULL HOME‘SやTrovitを通じて世界の不動産や暮らしに関するデータを蓄積し、先端技術を活用することで中期的な成長を目指している。中期経営計画の定量目標には20年9月期売上収益500億円台、EBITDA率20%前後を掲げている。

 18年3月には、ブロックチェーン技術を活用した不動産投資プラットフォーム運営のBitOfProperty(シンガポール)に出資した。18年6月には、不動産情報共有におけるブロックチェーン技術を活用したプラットフォーム商用化に向けて、全保連、ゼンリン、ネットプロテクションズ、NTTデータ経営研究所、NTTデータ・グローバル・テクノロジー・サービス・ジャパンとの共同検討開始を発表した。

 海外事業では18年12月、Mitula(Mitula Group Limited)を完全子会社化する取引が豪州裁判所で認可され、買収が確定した。今後はTrovitとMitulaを経営統合してグローバルプラットフォーム構築を加速させる方針だ。

 一方で、リソース集中戦略を進めるためLIFULL HOME‘Sリフォーム、LIFULL Remodelを終了した。また18年12月には保険ショップ検索・予約サイト運営LIFULL FinTechの広告事業の一部を日本生命に譲渡した。海外ではTrovitとMitulaに集中するため、LIFULL豪州とLIFULLドイツを撤退予定としている。

■国内では中古住宅市場活性化への取り組みも加速

 国内では中古住宅市場活性化への取り組みも加速している。17年1月JGマーケティング(現LIFULL Social Funding)を子会社化し、不動産投融資型クラウドファンディング事業を展開している。また18年11月子会社LIFULL Social Fundingが、日本各地の遊休不動産を利活用することにより地域創生に取り組む事業を対象として事業投資等を行う「LIFULL地域創生ファンド」を設立した。

 民泊関連は楽天<4755>と共同で17年6月設立した楽天LIFULL STAYが展開している。空き家の活用では、国土交通省の全国版空き地・空き家バンク構築運営に関するモデル事業「LIFULL HOME‘S 空き家バンク」によって、全国の空き家バンクのプラットフォーム化を目指している。

■19年9月期増収増益予想、Mitula買収完了後に修正予定

 19年9月期連結業績予想(IFRS)は、売上収益が18年9月期比12.9%増の390億22百万円で、EBITDA(償却前営業利益)が7.6%増の57億91百万円、営業利益が10.1%増の47億51百万円、親会社所有者帰属純利益が9.5%増の31億32百万円としている。HOME‘S関連事業のARPA(1顧客あたり売上高)向上施策として組織再編を実施し、メディア力の強化やプロダクトの強化を推進する。

 なおMitulaの買収完了後に業績予想を修正予定としている。買収コストを考慮せず、Mitulaの業績を単純合算した場合、売上収益は427億円、EBITDAは67億円となる。Mitulaも寄与して収益拡大が期待される。

 また配当方針を変更して18年9月期以降の配当性向の目途を20%から25%に引き上げた。19年9月期の配当は現時点で未定としている。内容判明次第速やかに公表する。

■株価は調整一巡して戻り試す

 株価は地合い悪の影響で11月29日の戻り高値933円から反落したが、12月25日の直近安値666円から切り返している。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。1月11日の終値は769円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS26円39銭で算出)は約29倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS184円32銭で算出)は約4.2倍、時価総額は約1032億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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