【アナリスト水田雅展の銘柄診断】陽光都市開発は調整一巡して11月高値目指す

銘柄分析

 投資用マンション企画・販売の陽光都市開発<8946>(JQS)の株価は、11月4日の年初来高値291円から反落したが、11月下旬の直近安値圏220円近辺から切り返しの動きを強めている。収益改善、財務基盤強化、中期成長に向けた積極投資を評価する流れに変化はなく、調整が一巡して11月高値を目指す展開だろう。

 投資用マンション「グリフィンシリーズ」の企画・販売事業を一旦縮小し、不動産管理・賃貸・仲介事業のストック型フィービジネスへの事業構造転換で収益基盤を強化した。13年8月にアパマンショップホールディングス<8889>の子会社アパマンショップネットワークとFC加盟契約を締結し、13年10月にはストライダーズ<9816>と資本業務提携した。

 さらに中期成長に向けて中国での不動産関連事業を強化する方針だ。14年2月に香港柏雅、および子会社でサービスアパートメント運営・管理コンサルティングを展開する柏雅酒店管理(上海)のベルグラビアグループを連結子会社化(上海柏雅投資管理は14年6月に売却)した。

 そして上海市など中国の主要都市でワンルームマンション賃貸事業を展開するため、7月に香港柏雅の子会社(当社孫会社)として陽光智寓(香港)を設立し、11月21日には陽光智寓(香港)が中国上海市で新規事業の実務を行うため上海陽光智寓を設立(14年12月予定)すると発表した。

 中国でのワンルームマンション賃貸事業については、中国・上海市およびその周辺都市の中古オフィスや工場施設など現在未使用の物件を長期契約(10年程度)で借り上げ、ワンルームマンションへの改装・内装工事を実施後に主として若年層向けに賃貸する。年間1棟ペースで物件借り上げ契約を進める方針だ。

 今期(14年12月期)の連結業績見通し(10月17日に増額修正)は売上高が前期比2.0倍の21億40百万円、営業利益が同45.4%増の1億53百万円、経常利益が同2.3倍の1億40百万円、純利益が同2.2倍の1億20百万円としている。

 連結子会社である合同会社GFインベスターズワンが販売用不動産のビジネスホテルを売却したため、不動産販売売上および不動産販売利益が増加する。この売却に伴って合同会社GFインベスターズワンおよび一般社団法人GFトラストワンを解散および清算するが、連結ベースでの損失計上はない見込みとしている。

 第3四半期累計(1月~9月)は前年同期比2.4倍増収、同73.8%営業増益、同2.6倍経常増益、同2.5倍最終増益だった。新築投資用マンション(横浜市、36戸)およびファンドのビジネスホテル1棟の引き渡し、中国におけるサービスアパートメント管理収入などが寄与した。

 通期見通しに対する進捗率は売上高が88.7%、営業利益が100.0%、経常利益が116.4%、純利益が119.2%となり、利益は通期見通しを超過達成している。来期(15年12月期)も投資用マンションの好調、不動産管理事業の着実な拡大、中国事業の寄与などで収益改善基調だろう。

 徳威企業発展有限公司(上海)およびストライダーズによる当社新株予約権行使などで第3四半期末(14年9月末)の自己資本比率は41.8%、1株当たり純資産(BPS)は65円16銭となり、前期末(13年12月末)の自己資本比率9.0%、BPS19円92銭に対して財務基盤が大幅に改善している。財務基盤強化によってM&Aの積極化や不動産販売事業の再構築も目指す方針だ。

 株価の動きを見ると、11月4日の年初来高値291円から反落して上げ一服局面だが、11月下旬の直近安値圏220円近辺から切り返しの動きを強めている。調整が一巡したようだ。

 12月4日の終値231円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS9円79銭で算出)は23~24倍近辺、実績PBR(今期第3四半期末実績の連結BPS65円16銭で算出)は3.5倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって調整一巡感を強めている。収益改善、財務基盤強化、中期成長に向けた積極投資を評価する流れに変化はなく、11月高値を目指す展開だろう。

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