【アナリスト水田雅展の銘柄診断】松田産業は指標面に割安感、9月戻り高値突破すれば上げ足速める可能性

銘柄分析

 貴金属リサイクル事業の松田産業<7456>(東1)の株価は、10月中旬の直近安値1130円から切り返し、11月26日の1321円までほぼ一本調子に上昇した。今期(15年3月期)増収増益見通しで指標面に割安感があり、9月の戻り高値1333円を突破すれば上げ足を速めそうだ。

 貴金属リサイクルを主力とする貴金属関連事業、および農林水産品を扱う食品関連事業を展開している。貴金属関連事業では「東アジアNO.1リファイナー」を目指し、国内外の拠点拡充・効率化、製品・技術開発強化を推進している。海外は中国、台湾、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナムに展開し、ベトナムでは14年3月に現地法人を設立して工場建設に着手している。食品関連事業は中国、タイに拠点展開している。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月12日公表)を据え置いて、売上高が前期比2.8%増の1700億円、営業利益が同4.4%増の47億円、経常利益が同2.2%増の50億円、純利益が同2.4%増の32億70百万円、そして配当予想が前期と同額の年間24円(第2四半期末12円、期末12円)としている。

 セグメント別の計画は、貴金属関連事業では産業廃棄物の取扱量増加などで売上高が同1.6%増の1200億円、営業利益が同4.9%増の39億円、食品関連事業では水産品・畜産品の販売数量増加や農産品の価格上昇などで売上高が同5.7%増の500億円、営業利益が同1.9%増の8億円としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比4.5%増収、同16.6%営業減益、同13.1%経常減益、同10.1%最終減益だった。貴金属関連事業は電子材料の販売数量減少や一部貴金属相場の下落などで同1.2%減収、同31.7%営業減益だった。ただし半導体・電子部品業界の生産が回復基調であり、貴金属製品の販売数量は前年を上回る水準に回復しているようだ。食品関連事業は販売数量の増加や価格の上昇で同20.6%増収、同82.7%営業増益だった。

 通期見通しに対する進捗率は売上高が51.6%、営業利益が42.8%、経常利益が46.3%、純利益が47.7%である。営業利益の進捗率はやや低水準だが、半導体・電子部品業界の生産が回復基調であり、市況回復や新規需要先開拓も寄与して通期ベースでは挽回が期待される。

 株価の動きを見ると、10月17日の直近安値1130円から切り返しの展開となり、11月26日の1321円までほぼ一本調子に上昇して9月25日の戻り高値1333円に接近している。

 12月4日の終値1305円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS122円81銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間24円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1778円38銭で算出)は0.7倍近辺である。週足チャートで見ると一旦割り込んだ26週移動平均線を回復して上伸した。強基調に転換したようだ。今期増収増益見通しで指標面に割安感があり、9月の戻り高値1333円を突破すれば上げ足を速めそうだ。

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