【水田雅展の為替・株式相場展望】日本株には特別の悪材料なし、モミ合いの展開

株式・為替相場展望

(4月6~10日)

今週の株式・為替相場は、海外投資家の利益確定売りも警戒されるが、日本株に対して特段の売り材料も見当たらない。やや材料難だが、全体としてはモミ合いに近い堅調な展開となりそうだ。日経平均株価2万円が通過点となるためにも、1万9000円台を固めながらエネルギーを蓄積する展開が望ましい。

前週末3日の米3月雇用統計で非農業部門雇用者増加数が前月比12.6万人増加にとどまり、市場予想の24~24.5万人増加を大幅に下回った。ただし米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ開始時期が後退したとの見方が優勢になり、3日は休場だった米国株にはポジティブ要因となりそうだ。

■米雇用統計の影響は一時的

そして米3月雇用統計発表後の外国為替市場では1ドル=108円台後半までドル安・円高方向に傾いた。米FRBの利上げ開始時期を巡る思惑が交錯して当面は方向感に欠ける展開となりそうだが、日米の金融政策の基本的な方向性に変化はなく米3月雇用統計の影響は一時的だろう。

7日~8日の日銀金融政策決定会合、10日のオプションSQ(特別清算指数)算出、米国での1~3月期決算発表開始が当面の注目点となるが、日銀金融政策決定会合では金融政策の現状維持の可能性が高く、会合後の黒田総裁の記者会見でもサプライズは期待薄だろう。また米国では8日のアルコアを皮切りに1~3月期決算発表が始まるが、本格化は次週(4月13日~17日)となる。

需給面では、利益確定売りで海外投資家が売り越しに転じてきたが、引き続き日銀によるETF買いや年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による日本株買いが安心感に繋がる。大勢として為替はドル高・円安方向、日経平均株価は2万円を目指す流れに変化はないだろう。

日本株の物色面では、利益確定売りも警戒され始めた中で主力大型株が上値を追うのか、それとも出遅れ感の強いマザーズ市場のテーマ関連株や中小型株に個人投資家の資金がシフトするのかが注目点だ。テーマ物色では個人消費関連、スマートカー関連、ゲーム関連などに注目したい。

その他の注目スケジュールとしては、6日の日本2月景気動向指数、米3月ISM非製造業景気指数、7日の豪中銀理事会、米2月消費者信用残高、8日の日本2月国際収支、日本3月景気ウォッチャー調査、米FOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨、8日~9日の英中銀金融政策委員会、10日の中国3月PPI・CPI、などがあるだろう。

その後は4月15日のECB(欧州中央銀行)理事会、28日~29日の米FOMC(連邦公開市場委員会)、30日の日銀金融政策決定会合などが予定されている。(アナリスト)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る