【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アライドテレシスHDは15年12月期赤字見通しを織り込んで反発展開

銘柄分析

 ネットワーク機器や総合ITソリューションのアライドテレシスホールディングス<6835>(東2)の株価は、急落した2月16日安値70円から3月9日86円まで切り返した。その後は戻り一服の形だが2月安値圏まで下押す動きは見られない。15年12月期の赤字見通しを織り込んで反発展開だろう。なお5月13日に第1四半期(1月~3月)の業績発表を予定している。

 世界23カ国・40連結子会社を統括する純粋持株会社で、ネットワーク関連機器およびソリューションの企画・開発・製造・販売・保守事業などを展開している。さらにネットワーク機器メーカーからITインフラ・スペシャリストへのシフトを目指し、総合ITソリューションおよびサービスの提供を強化している。

 14年12月に新SDNソリューションの開発を発表した。ストラトスフィア、ラクラス、クオリティソフト、トレンドマイクロ<4704>、インターネットイニシアティブ(IIJ)<3774>と連携し、ネットワーク運用管理効率化とセキュリティー強化を実現する新しいコンセプトのソリューションとしている。販売開始は15年12月期第2四半期(4月~6月)予定で、自治体・文教・医療市場を中心に販促活動を強化する方針だ。

 15年1月にはイスラエルに子会社アライドテレシスワイヤレスを設立するとともに、子会社アライドテレシス開発センターの社名をアライドテレシス総合研究所に変更した。

 15年2月には当社のGbEソリューションが、米国最速インターネットサービスプロバイダ(ISP)であるグラント・カウンティ・パブリック・ユーティリティのウルトラ・ブロードバンド・アクセスネットワークに選定されたと発表している。

 また3月17日には、米バーノン・テレフォン・コオペラティブ(VTC)社と連携して、ギガビットネットワークの展開を進めていると発表した。米VTC社は集中管理型マルチメディアホームサービスを提供する通信プロバイダで、米国の過疎地でギガビットネットワークを実現している。

 今期(15年12月期)連結業績見通し(2月13日公表)は売上高が前期比11.2%増の336億円、営業利益が5億40百万円の赤字(前期は18億43百万円の赤字)、経常利益が7億円の赤字(同3億67百万円の赤字)、純利益が16億円の赤字(同39億54百万円の赤字)、配当予想が無配、想定為替レートが1米ドル=120円としている。

 地域別売上高計画については、日本が同6.7%増の159億円、米州が同15.9%増の75億円、EMEA(欧州、中東、アフリカ)が同12.7%増の68億円、アジア・オセアニアが同20.6%増の34億円としている。

 ソリューション販売強化と付加価値サービス拡充、グローバル製品統一とユニファイド化促進による売上拡大、生産・ロジスティクス・販促・販売の効率化、主力テクノロジー絞り込みによる研究開発センターの機能統合推進、選択と集中による開発リソースの効率化、人材リソースの最適配分などを推進して営業損益の改善を図り、純利益は減損損失一巡も寄与して赤字幅が縮小する見通しだ。

 株価の動きを見ると、15年12月期の赤字見通しを嫌気して急落した2月16日安値70円から3月9日の86円まで切り返した。その後は戻り一服の形だが、2月安値圏まで下押す動きは見られない。15年12月期赤字見通しの織り込みが進んでいるようだ。

 4月7日の終値77円を指標面で見ると、前期実績PBR(前期実績の連結BPS51円79銭で算出)は1.5倍近辺である。週足チャートで見ると2月安値圏の下ヒゲと陽線で底打ちは確認した形だ。15年12月期赤字見通しを織り込んで反発展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る