【編集長の視点】クックビズは決算発表を前に業種特化型ビジネスモデルの成長可能性をテコに直近IPO株買いが再燃し反発

 クックビズ<6558>(東マ)は、前日9日に60円高の4915円と反発して引けた。同社株は目下、昨年11月28日の新規株式公開(IPO)後の初決算となる前2017年11月期業績を集計中で、今年1月中旬に発表予定だが、これを前に飲食業に特化した人材紹介業のビジネスモデルにより、過去5年間の年平均の売上高成長率が2倍を超えた成長可能性を見直し、業績期待を高めて直近IPO株買いが再燃した。新年の相場環境も、昨年12月のIPOラッシュが、昨年12月26日にIPOのオプティマスグループ<9268>(東2)で一巡して端境期に入り、直近IPO株への注目度が高まることも買い手掛かりとなっている。

■IPO後初決算の前2017年11月期経常利益は前期比3.53倍増益と大幅続伸

 同社は、2007年12月に飲食業界に特化する人材サービスを事業目的に設立され、2008年3月に飲食求人サイト「cook+biz」をリリースして人材紹介事業を開始し、そのあと2012年に求人広告事業、2016年に料理人・シェフを繋ぐSNS「Foodion」、研修サービス「クックビズフードカレッジ」などを開始し、「フード産業を人気業種にする」と掲げている同社ビジョンを実現してきた。外食産業は、一時期落ち込んでいたが、景気回復や外国人観光客の増加などを背景に、2015年の市場規模は25兆円まで回復し、ここにきて再拡大傾向を強めている。ただこのなかで人手不足が顕著となり、離職率も高水準で推移するなどの課題を抱え、有効求人倍率(2017年8月)は、全体の1.52倍に対して接客・給仕業で3.92倍、飲食物調理業が3.23倍と高水準で推移している。この業界環境が、飲食業に特化した同社の高成長要因となっている。
 IPO後の初決算となる2017年11月期業績は、売り上げ20億6500万円(前期比67.6%増)、営業利益2億6300万円(同4.69倍)、経常利益2億6500万円(同3.53倍)、純利益1億6900万円(同3.31倍)と大幅続伸が予想されている。未発掘地域での展開を目指し社員数を前2016年11月期に121名と前々期からほぼ倍増させる積極的な人材採用や教育体制の強化などの成長戦略推進の費用増を吸収しており、売り上げは5期前の2012年11月期の5700万円に対して36.2倍、経常利益も同じく80万円に対して331.2倍と高成長する計算になる。続く今2018年11月期業績も続伸が有力で、東洋経済会社四季報最新号では、純利益を1億9500万円と観測している。

■最高値から最安値までの調整幅の3分の1戻し水準から一段の戻りにトライ

 株価は、公開価格2250円に対して5280円で初値をつけ即ストップ高、さらに上場来高値6750円まで買い進まれる高人気となった。最高値後は、IPO株の定石通りに目先の利益確定売りで上場来安値4490円まで調整、下げ過ぎとして5440円と買い直されて初値水準を回復し、再度の下値確認から昨年末には最高値から最高値への調整幅の3分の1戻し水までリバウンドして5000円台固めを続けている。同社の初値倍率は、2017年のIPO市場の第26位にランクインする高人気となり、その後2000円超幅の調整となっただけに、大きく下げた株ほど大きく戻すとする投資セオリーの「リターン・リバーサル」通りに半値戻し、全値戻しと一段の戻りにトライしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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