【編集長の視点】綿半HDは続落も1Q好決算、通期連続最高業績を手掛かりに突っ込み買い妙味

 綿半ホールディングス<3199>(東1)は、前日6日に48円安の2851円と4営業日続落して引け、今年8月3日につけた年初来安値2886円を下抜いた。米国と中国との間で制裁関税の応酬が続き、前日に中国の上海株が続落したことで、東京市場も後場に失速したことから同社株にも、持ち高を調整する売り物が続いた。ただ取引時間中の値動きをみると、前場は、2917円高値まで買い進まれた場面があり、下値に下げ過ぎ訂正買いが続いた。これは、同社株が、今年7月30日に今2019年3月期第1四半期(2018年4月~6月期、1Q)の好決算を開示し、続いて8月1日には新規店舗のオープン、同3日にはタブレット付きの新規ショッピングカートの導入を発表しており、今3月期通期業績の連続過去最高更新の確度が高まったとの見方が強まったことによる。実際に前日の取引時間終了後に発表された株主優待制度の拡充も、サポート材料に浮上しそうだ。

■11月に岐阜県初の「可児店」が開業しタブレット端末付きショッピングカーも初導入

 同社の今期1Q業績は、前年同期比3.9%減収、6.8%営業増益、12.2%経常増益、52.8%純益増益と売り上げは減収転換する一方、利益は増益転換する増減マチマチで着地した。スーパーセンター事業では、昨年12月の老朽化した三鷹店の閉店や今年7月11日にリニューアルオープンした「綿半スーパーセンター富士河口湖店」の改装コストの影響で減収減益となったが、建設事業の売り上げが、業界初の国土交通大臣の認定を受けた6層7段の大型自走式立体駐車場や、非常災害時の水確保用の雨水貯留柱などの独自技術製品の大型受注、選別受注によって前年同期に比べて12.8%増と伸び、セグメント利益が、1億2500万円(前年同期は5300万円の赤字)と黒字転換したことでカバーして増益転換した。

 第2四半期(2018年7月~9月期)以降は、先行投資した「綿半スーパーセンター富士河口湖店」の開業や、今年11月7日に岐阜県で初、同社では37店舗目となる「綿半スーパーセンター可児店」のオープンがスーパーセンター事業の好展開を支援し、今年8月3日に「綿半スーパーセンター長池店」に導入したタブレット端末付きのショッピングカー「ショピモ」を今期末までに10店舗に拡大導入して限定クーポンやオススメレシピ情報などのコンテンツを発信して売り場を活性化させる。

 このため今2019年3月期業績は期初予想に変更はなく、売り上げ1028億1000万円(前期比0.4%増)、営業利益24億4100万円(同4.1%増)、経常利益24億400万円(同4.1%増)、純利益15億3600万円(同3.6%増)と予想し、4期連続の過去最高更新となる。また配当も、前期に創業420周年の記念配当5円に普通配当1円の増配も加えて年間32円(前々期実績26円)へ大幅増配したが、今期は普通配当として年間32円を予定しており、普通配当は、5円の連続増配となる。

 一方、株主優待制度の拡充は、同社株式の投資魅力を高めて長期保有してもらうほか、株主に同社店舗を利用してもらう目的で実施するもので、買い物時にブルーカードを提示するとポイントが従来の2倍から3倍に拡大し、贈呈する信州特産品やプライベートブランド商品の詰め合わせ(2000円相当)の内容も変更する。

■最高値から6カ月経過で絶対期日が一巡しダメ押しの下落率42%から底上げ加速へ

 株価は、前期の記念増配により同社創業が420年前に遡ると老舗企業とアピールしてサプライズとなって、一気に上場来高値4875円まで急伸した。最高値後は、配当権利落ちに世界同時株安の影響を何度も受けて下値を探り、今年6月に同社が貿易事業で手掛けている後発医薬品の原薬を手掛ける同業他社の新規株式公開の関連人気で3560円までリバウンドする場面もあった。足元では、今期1Q業績の好決算があったものの、米中両国による制裁関税のエスカレートによる全般相場の先行き不透明化が波及して年初来安値2826円へ再調整した。テクニカル的に、最高値から6カ月を経過して絶対高値期日が一巡し、最高値からの下落率も42%とダメ押しを示唆しており、底上げ加速でまず最高値から年初来安値までの調整幅の3分の1戻し水準の3500円台奪回に進もう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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