【アナリスト水田雅展の銘柄分析】JFEシステムズは高値圏モミ合いに煮詰まり感、16年3月期増収増益期待で1月高値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

システム開発のJFEシステムズ<4832>(東2)の株価は、高値圏の1300円近辺でモミ合う展開だが煮詰まり感を強めている。日柄調整が一巡して動意のタイミングであり、16年3月期増収増益期待で1月高値1400円を試す展開だろう。なお4月27日に15年3月期の決算発表を予定している。

川崎製鉄(現JFEスチール)のシステム部門を分離した情報サービス企業である。鉄鋼向け情報システム構築事業を主力として、ERPと自社開発ソリューションを組み合わせた一般顧客向けSI(システムインテグレーション)事業や、自社開発のプロダクト・ソリューション事業も展開している。

アライアンス戦略では、13年5月に大阪ガス<9532>子会社オージス総研と協業、ビジネスブレイン太田昭和<9658>と資本・業務提携した。

 中期成長戦略として、鉄鋼事業でのJFEスチールと連携した製鉄所システム統合・共通化推進、JFEスチールの海外展開へのIT支援、ERPを核とした製造流通向け複合ソリューションの強化、自社プロダクト・ソリューション事業の強化(帳簿データ保存ソリューション、電子帳票システム「FiBridgeⅡ」のタブレット対応、MQネットによる原料規格書サービスなど)を掲げている。

 重点戦略の鉄鋼事業「JFEスチールIT施策の推進」では、JFEグループの海外展開を支援すべく、前期にタイCGL(溶融亜鉛めっきライン)工場向けで開発した海外製造拠点向け標準システムを、インドネシアCGL工場へ導入中だ。

 4月6日には、老舗食品メーカーであるみすずコーポレーション(長野県)の生産管理システム刷新に際して、マイクロソフトのERPと当社開発の「素材製造業向けテンプレート」を組み合わせることで、構築期間5ヶ月という短期間での稼働を実現したという事例を発表している。

 なお5月13日~15日開催(東京ビックサイト)の「第20回ビッグデータ活用展・春」に出展する。

 前期(15年3月期)の連結業績見通し(4月24日公表)は売上高が前々期比2.5%増の360億円、営業利益が同37.8%増の15億20百万円、経常利益が同35.6%増の15億20百万円、純利益が同53.8%増の8億60百万円、配当予想が同6円増配の年間28円(期末一括)としている。JFEスチールのIT投資回復、製造流通向け複合ソリューションの拡大、高収益案件、さらに販管費抑制などが寄与する。

 第3四半期累計(4~12月)は前年同期比3.9%増収、同10.8倍営業増益、同10.0倍経常増益、同26.2倍最終増益で、通期見通しに対する進捗率は売上高69.8%、営業利益60.7%、経常利益60.1%、純利益60.9%だった。第4四半期(1~3月)の構成比が高い収益構造を考慮すれば通期ベースでも好業績だろう。

 なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4~6月)77億69百万円、第2四半期(7~9月)89億33百万円、第3四半期(10~12月)84億38百万円、営業利益は第1四半期83百万円の赤字、第2四半期5億28百万円、第3四半期4億77百万円だった。営業損益は改善基調だ。

 今期(16年3月期)も、JFEスチールのIT投資拡大と大型案件による売上総利益率改善、製造流通向け複合ソリューションの拡大、自社プロダクト拡販などが牽引して増収増益基調だろう。

 株価の動きを見ると、急伸した1月高値1400円後は上げ一服となり、2月以降は高値圏の1300円近辺でモミ合う展開が続いている。ただしモミ合い煮詰まり感を強めている。日柄調整が一巡して動意のタイミングが接近しているようだ。

 4月16日の終値1288円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS109円51銭で算出)は11~12倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間28円で算出)は2.2%近辺、そして前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS1226円53銭で算出)は1.1倍近辺である。

 週足チャートで見るとサポートラインの13週移動平均線が接近した。日柄調整が一巡して動意のタイミングであり、16年3月期増収増益期待で1月高値1400円、さらに07年1月高値1480円を試す展開だろう。

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