【編集長の視点】JSSは連続増配の中間配当の権利取りに東京五輪関連人気が相乗して小反発

株式市場 銘柄

ジェイエスエス<JSS、6074>(JQS)は、前日17日に1円高の589円と小反発して引け、全般相場の急落にツレ安して8月6日につけた直近安値537円から出直る動きを強めた。9月相場も中盤となり、6期連続の増配を見直し中間配当の権利を取る買い物が再燃しており、合わせて今2020年3月期業績が増益転換と予想されていることも割り負け修正要因として意識されている。また、同社所属の水泳の瀬戸大也選手が、世界選手権で2種目に優勝し、金持義和選手が、「世界ろう者水泳選手権」の7種目でメダルを獲得したことも、「2020年東京オリンピック・パラリンピック」関連株人気の高まりが期待されている。

■今期配当は6期連続で増配し自己株式取得も並行するなど積極還元策

 同社は、株主への利益還元を経営の最重要課題としており、2013年6月の新規株式公開(IPO)以来、着実に配当を増配するとともに、今年2月からは自己株式取得(8月21日終了)を進めてきた。このうち配当は、2016年3月期の年間7.5円から今2020年3月期の同17.5円まで6期連続の増配を予定しており、今期中間配当も、前年同期の7.5円が8.75円と増配され、年間配当利回りは、2.97%とジャスダック市場全銘柄平均の1.92%を大きく上回るだけに、中間配当の権利付き最終日の9月26日を前に配当権利取りの買い物が再燃した。

 この連続増配の前提となる今2020年3月期通期業績も、好調に推移しており、売り上げ89億4200万円(前期比2.4%増)、営業利益5億400万円(同6.9%増)、経常利益5億100万円(同3.2%増)、純利益3億1900万円(同0.5%増)と、前期に導入した新人事制度による人件費の負担増を吸収して増益転換を予想している。

 とくに今年8月8日に発表した今期第1四半期(2019年4月~6月期、1Q)業績は、例年より特典を充実したキャンペーンを実施して会員集客を強化し、一部地域ではインターネット広告も活用したことから会員数が順調に推移し、売り上げは、前年同期比1.1%減となったが、営業利益が同27.2%増、経常利益が同26.1%増とそれぞれ増益転換し、純利益は700万円(前年同期は400万円の赤字)と黒字転換した。

 なお同社所属の水泳選手は、瀬戸大也選手のほか女子飛込み競技で荒井祭里選手が、2020年東京オリンピックの代表選手に内定し、有力選手も多数にのぼっているだけに、東京オリンピックとともに同社の知名度もアップし、会員数の拡大につながると想定される。

■ミニGC示現で上昇トレンド転換を示唆し年初来高値にキャッチアップ

 株価は、今年2月から進めている自己株式取得を手掛かりに年初来高値683円をつけ、その後、世界同時株安の影響で25日移動平均線を出没しながら下値を探り、米国の対中制裁関税第4弾発動表明で537円安値へ突っ込んだ。同安値から売られ過ぎとして底上げ、25日線を上回るとともに、5日移動平均線が25日線を上抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆した。PERは7倍台、PBRは0.83倍、配当利回りは2.97%となお割安であり、中間配当の配当権利取りとともに年初来高値683円へのキャッチアップを強めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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