【新規上場(IPO)銘柄】ステムリムは今期事業収益4億円を見込む、二番底形成を前向きに待つ

株式市場 IPO 鐘

ステムリム<4599>(東マ)は、8月9日に東京証券取引所マザーズに上場。同社は、創業以来「再生誘導医薬」という画期的な新薬の開発を進めている。「再生誘導医薬」とは、人体が本来備えている組織修復能力を最大限に引き出し、怪我や病気により損傷し機能を失った生体組織の組織的再生・治癒を促進することが長年の研究で明らかになっている。従来の再生医療/細胞治療とは異なり、「物質=医薬品」の投与により作用する「再生誘導医薬」は、侵襲性、品質管理、コストなど、再生医療/細胞治療の制約をクリアし、さらに幅広い適応症をカバーできる可能性を秘めているなど、新しい再生医療となり得る存在と言える。


 具体的な進捗としては、2017年12月に開始した、大阪大学医学部附属病院・慶應義塾大学病院・東邦大学医療センターにおける難治性遺伝性皮膚疾患(表皮水疱症)を対象とした臨床試験(医師主導治験)の第Ⅱ相試験及び、19年4月に塩野義製薬が開発主体となる、HMGB1ペプチドに関する脳梗塞を対象とした企業治験の先行する2つの臨床治験をはじめ、複数の対象疾患において、機能障害の抑制効果が示されているなどの薬効効果が確認されており、同社が進める「再生誘導医薬」の実現に向け、研究及び開発を推進している。

 9月12日大引け後に発表した前2019年7月期業績実績は、事業収益1億円(前の期比50.0%減)、営業損益7億2600万円の赤字(同3億7500万円の赤字)、経常損益7億2200万円の赤字(同3億2700万円の赤字)、最終損益7億2100万円の赤字(同3億2300万円の赤字)に着地。塩野義製薬と締結しているHMGB1ペプチドに関するライセンス契約に基づく臨床データ使用許諾の対価を受領したが、事業推進のための研究開発費が膨らんだため、赤字幅は拡大した。

 今20年7月期業績予想は、事業収益4億円(前期比4倍)、営業損益10億9000万円の赤字(同7億2600万円の赤字)、経常損益11億3400万円の赤字(同7億2200万円の赤字)、最終損益11億3700万円の赤字(同7億2100万円の赤字)を見込む。年間配当は無配を予定している。

 株価は、8月29日につけた上場来高値1055円から9月18日に上場来安値797円まで調整を挟んで9月30日高値979円と上昇。上げ一服となっている。今20年7月期は事業収益が4倍に伸びる見通しで、難治性遺伝性皮膚疾患(表皮水疱症)を対象とした臨床試験(医師主導治験)の第Ⅱ相試験が終了間近となっており、その動向が注目される。需給面では、信用買残が89万5900株と増加傾向で、戻り待ちの売りが控えており、目先は上場来安値797円に対する二番底形成を前向きに待ちところだろう。(株式評論家・信濃川)

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