【株式評論家の視点】Welbyはスズケンと資本業務提携を締結、PHRソリューションの普及推進等行う

株式評論家の視点

 Welby(ウェルビー)<4438>(東マ)は、本年3月29日に東京証券取引所マザーズに上場。同社は、2011年から「PHR(Personal Health Record)プラットホームサービス」を提供するリーディングカンパニーとして、様々な疾患領域の患者さんを対象とする、治療支援デジタルサービスの企画・開発・運用をしている。

 提供するPHRサービスの一つ「Welbyマイカルテ」は、糖尿病、高血圧などの生活習慣病患者を対象に、血糖値や血圧などの自己管理を支援するスマートフォン向けアプリで、大手製薬企業と共同で企画し、Welbyが運営するPHRサービスも数多くあり、生活習慣病をはじめとして、オンコロジー領域、中枢神経系領域、自己免疫疾患、希少疾患など、幅広い領域でPHRサービスを提供している。また、様々な疾患領域におけるPHRサービスの実績とID・DB基盤を活かし、臨床研究を対象としてPHR/PROを活用したエビデンス創出の相談から、 PHR/PROの収集システムの開発・運用、機器の運用支援までをパートナー企業と連携して提供している。


 11月6日大引け後に同社は、医療用医薬品、試薬、医療用機器、医療材料、食品などの販売、ならびに医療用機器の開発製造を行っているスズケンとの間で、資本業務提携を行うことについて契約を締結したと発表した。スズケンの顧客である医療機関(病院/診療所)の患者向け治療アウトカムの改善および業務効率向上のために、同社のPHRソリューションの普及を推進。両社の顧客である保険薬局を中心とする医療従事者等の利便性向上、患者サポートに貢献する新たなソリューションの検討。両社の顧客である製薬企業等に向けた、両社のノウハウ、ソリューションを組み合わせた医療用医薬品、医療用機器の流通から患者サポートまでの新たなソリューションの検討。両社及び両社の関係会社のヘルス ケア関連データを活用した新たな協業・ビジネスモデルを検討していく。スズケンはWelbyの既存株主から発行済み株式数の1%に当たる7万7900株を取得する予定で、この資本業務提携による業容拡大が期待される。

 足元の業績は、今2019年12月期第2四半期業績実績が、売上高2億0200万円、営業損益1億0100万円の赤字、経常損益1億1300万円の赤字、最終損益8100万円の赤字に着地。第2四半期は、日本糖尿病学会年次学術集会において、「Welbyマイカルテ」の利用と治療効果改善の相関に ついて発表したほか、マルホ株式会社と「ニキビログ」「アトピーノート」をリリースし、皮膚科領域でのPHRサービス拡大につなげている。

 今19年12月期業績予想は、売上高10億2900万円(前期比34.2%増)、営業利益2億円(同28.7%増)、経常利益1億8400万円(同19.9%増)、純利益1億5600万円(同11.4% 減)を見込む。年間配当は無配を予定している。

 株価は、6月12日につけた分割前の高値5000円から10月30日につけた上場来安値2091円まで調整を挟んで11月7日高値2449円と上昇している。10月31日に同社は、がん患者さん向け治療サポートサービス「マイカルテ ONC」が12月に正式にリリースすると発表。すでに大手製薬企業複数社が同社のプラットフォームへの参画を決めており、夏には、第1号としてニボルマブ(オプジーボ)に関する聖マリアンナ医科大学での臨床研究にて先行して採用されているほか、本サービスの普及に向けて、今後製薬企業以外の医療関連企業、保険会社、その他事業会社など様々なパートナーとの連携も進めていくことから、来20年12月期業績に貢献する見通し。11月11日に今19年12月期第3四半期決算の発表が予定されているが、スズケンとの資本業務提携による業容拡大に対する期待感があり、発表後に押す場面があれば、好買い場となりそうだ。(株式評論家・信濃川)

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