【編集長の視点】ダブルエーは続急落も業績下方修正を織り込み済みとして突っ込み買いが交錯

ダブルエー<7683>(東マ)は、前日17日に260円安の3300円円と続急落して引けた。同社株は、今年11月1日に新規株式公開(IPO)されたばかりで、前週末の12月13日にIPO後の初決算となる今2020年1月期第3四半期(2019年2月~10月期、3Q)業績とともに、今1月期通期業績の下方修正を発表した。このため週明けの16日にストップ安し、前日取引時間中も上場来安値3110円まで売られたが、この最安値は長大下ヒゲでつけ、大引けには190円引き戻して引けており、業績下方修正は一過性で2日間の続急落で織り込み済みとして突っ込み買いが交錯した。2019年10月からスニーカーに本格参入しスポーツジャンルを強化していることも、成長可能性の見直しを促している。

■売上総利益率64.6%を誇り年率30%超の経常利益成長率は不変

 今回の業績下方修正は、香港の反政府デモの大規模化で販売店舗の営業中止や営業時間の短縮が長期化し、国内の台風15号、19号により出店先の商業施設の休館により販売店舗の営業停止や営業時間の短縮などが発生した一過性の要因によるものである。売り上げはIPO時予想より6億2300万円、営業利益は4億5600万円、経常利益は4億3500万円、純利益は2億8900万円それぞれ引き下げたが、それでも売り上げは140億700万円(前期比9.7%増)、営業利益は13億5600万円(同17.1%増)、経常利益は13億9400万円(同18.1%増)、純利益は9億3200万円(同21.1%増)と増収増益を維持し、前期の過去最高を連続更新する。

 婦人靴のSPA(製造小売り)としてブランド力の強化と新規出店を並行して進め、3Qでは17店舗を新規出店(退店7店舗)して3Q期末の店舗数は132店舗に拡大し、ほかに催事店舗を19店舗開催、売上総利益も、前期から発注方法の見直しを実施、売上総利益率が64.6%となったことなどが寄与している。今回の業績下方修正は、政治要因、天候要因による一過性のもので、好立地への店舗展開とECの拡大により年率30%超の経常利益成長を達成している同社の成長可能性そのものは、依然として発揮されていることを示唆している。スニーカーへの本格参入も業績期待を高めている。

■下方修正ベースでもPERは14倍と割り負けリターン・リバーサル妙味を示唆

 株価は、4690円を公開価格にIPOされ、4680円で初値をつけ上場来高値4720円へ切り返す場面もあったが、12月のIPOラッシュを前に3980円安値まで下値を探り、売られ過ぎとして4400円までリバウンドしたものの、今期業績の下方修正とともに上場来安値3110円まで突っ込んだ。業績下方修正でもPERは14倍台と割り負けを示唆しており、下げた株ほど良く戻すとするリターン・リバーサル買いを誘発、公開価格奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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