イワキはROIC(投下資本利益率)など目標上回り5年後には皮膚薬でNo.1めざす

■創業111周年の2025年11月期に向けた10年間の中長期ビジョン「Vision/i-111」順調

 イワキ<8095>(東1)はいま、創業111周年を迎える2025年11月期に向け、10年間の中長期ビジョン「Vision/i-111」(16年11月期から25年11月期)を推進している。

■化学品事業には「5G」「自動運転」に不可欠な電子部品向け薬品も

 これは、創業111周年の25年11月期までに、連結売上高を1000億円以上、ROIC:投下資本利益率10.0%などを達成する計画。前期・19年11月期の連結業績は、売上高が616.5億円(前期比4.7%の増加)となり、マイルストン(中間目標)に沿う水準で順調に推移した。ROICについては6.0%となり、マイルストンの4%台から5%台を上回ることができた。

■「品ぞろえ」提供型ではなくワンストップで応える「策ぞろえ」の会社に

 続く今期・20年11月期は、中長期ビジョンの5年目に入る。前半戦の仕上げになるとともに、計画の後半に向けた折り返しの年にもなり、「製品を提示するだけの『品ぞろえ』的な面があったビジネスモデルを『策揃え(さくぞろえ)』・・造語だが、取引先様の課題解決に向けてあらゆる情報・機能を提供し、さまざまなニーズにワンストップで応えるビジネスモデルに変えていく」(岩城慶太郎社長)方針だ。

■従来の4つの事業セグメントを組み替え、今期から一段とパワーアップ

 前期・19年11月期までの4つの事業セグメントは、「医薬・FC(ファインケミカル)事業」、「HBC(ヘルス&ビューティケア)事業」、「化学品事業」、「食品事業」だった。これを今期から組み替え、「ファインケミカル事業」、「医薬事業」、「HBC・食品事業」、「化学品事業」とした。

■皮膚向け医薬品の分野では強い競争力と高いブランド力が

 同社グループは、医薬品原料だけでなく、実は、皮膚の炎症や感染症に対応する医療用医薬品「デルモゾールG軟膏」(岩城製薬)を擁するなど、皮膚向け医薬品の分野では強い競争力と高いブランド力、シェアを握っている。

 新たな事業セグメントの「医薬事業」では、これら皮膚向け医薬品の開発・製造・販売に特化する。「市場規模は大きくないが、当社にとっては手頃で実績も豊富。ニッチな市場といわれるかもしれないが、『皮膚薬ならイワキ』『皮膚のイワキ』と呼ばれるようにNo.1をめざす」(岩城慶太郎社長)。

 同様に、「ファインケミカル事業」は、医薬品原料などの開発・製販に特化し、より生産性の向上などを推進し収益力の強化を進める。

 また、「HBC・食品事業」では、機能性食品原料や化粧品原料など、これまでの製品のさらなる開発や生産性の向上を進めるのに加え、食品と機能性食品の「業際」の製品の需要増加などにも対応する。

■「5G」「自動運転」に不可欠なプリント基板向け薬品や半導体向け薬品

 「化学品事業」は、セグメントとしての変更はないが、プリント基板向けの薬品や、電子部品向け薬品、半導体向け薬品などの開発・生産性向上などを推進する。この事業には、回路の表面を極兆微細なレベルで高品質化する「シード層エッチング」など、特定の市場ではあるが非常に強い競争力と信頼を得ている製品と技術があり、「5G」機器向けの部品製造や「自動運転」にかかわる制御システムを構成する部品には不可欠な技術の一つになっている。

■今期は23年ぶりに売上げ高、各利益ともそろって過去最高を更新する計画

 今期・20年11月期は、創業111周年を迎える2025年11月期に向けた10年間の中長期ビジョン「Vision/i-111」(16年11月期から25年11月期)の5年目に当たる。この年度の連結業績計画は、売上げ高が640億円(前期比3.8%の増加)、営業利益が22億円(同3.7%の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億円(同10.0%の増加)、1株利益は51円95銭。

 売上げ高、各利益ともそろって過去最高を更新することになり、こうした「完全試合」は1997年11月期以来、23年ぶりになるとのことだ。(HC)

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