国交省、新築マンション取引、短期売買が都心部で上昇、国外取得も増加傾向

【新築マンションの短期売買を分析】

 国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マンション取引に関する調査結果を公表した。2018年1月から2025年6月までに保存登記がなされた約55万戸を対象に、不動産登記情報と民間価格データを用いて短期売買や国外居住者による取得状況を分析したものである。

■新築マンションの短期売買、都心6区で12.2%に上昇、国外取得も増加

 短期売買は東京都を中心に神奈川県、大阪府、兵庫県の一部地域で増加が続き、中心部ほど割合が高い傾向が明確となった。東京23区では2024年上期で9.3%、都心6区では12.2%に達し、大規模マンションでは9.9%と上昇が際立った。また、国外居住者による短期売買も増加しているが、2億円以上の高額帯で活発化している傾向は確認されていない。

 国外に住所がある者による取得割合も東京都、大阪府、京都府の一部で上昇傾向を示し、中心部ほど取得割合が高い構造が続く。2025年上期の取得割合は東京都3.0%、大阪府2.6%、京都府2.3%であり、東京23区では3.5%、都心6区では7.5%に達した。ただし各年の供給物件の特性により変動幅が大きく、取得動向は一様ではない。都心6区では購入者の約9割が1億円未満の物件を選択しており、2億円以上の高額帯では国外居住者の取得割合は3%前後にとどまり、高額物件偏在の傾向はみられなかった。

■台湾・中国・香港が主要取得国、中心部集中が市場構造として定着

 地域別では東京・大阪圏で短期売買と国外取得の双方が増加し、中心部への集中が一段と強まっている。東京23区では国外居住者の短期売買割合が7.0%、件数は2024年上期で17件となり、上昇基調が続いた。国・地域別では台湾、中国、香港が中心で、近年は台湾が最多となった。名古屋圏では上昇傾向は限定的で、圏域間の構造差も浮き彫りとなった。調査結果は今後の住宅市場政策の基礎資料として活用される見通しである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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